【椿の名所】宇治市植物公園の椿植栽

訪問したのはちょうど桜の時期でした。様々な桜が咲き誇る中、園の奥まった高台では園路沿いに植えられた椿がひっそりと咲いていました。

宇治市植物公園

宇治市植物公園は宇治市が都市緑化を推進する緑の拠点として1996年に開園しました。広さ10ヘクタールの公園内には熱帯・亜熱帯の植物がある温室、壁から水が流れる花と水のタペストリー、花壇、花木園などさまざまなコーナーがあり、四季折々の花や緑を楽しめます。フィールドに約800種、温室に約650種の植物を有するこの場所は、市民の憩いの場・緑に触れる場として様々なイベントや展示が行われます。

訪問した4月1日は桜が見頃でした。

サクラ_神代曙_宇治市植物園_20250401

 

椿の道

特に「椿園」が作られているわけではありませんが、椿が植栽されている一角があります。場所は入口から最も奥まった高台、花と水のタペストリーの裏山あたりです。花と水のタペストリーに向かって左横の坂と階段を登るか、夏ゾーン側から園周路を通って坂を登ってゆくと着けます。(地図参照)

宇治市植物公園園のツバキ植栽地図(園の地図に著者が赤く印をつけています)

園内地図に椿の植栽場所は記されていないのですが、入り口で尋ねると場所を教えていただけましたし、最寄りの道には「ツバキが咲いています」の案内が立てられているので目印になります。

椿植栽地への案内_宇治市植物園

椿の植栽地区は園周路に沿った背の高い樹木の下に広がっていました。見通しがいいので花を見つけやすく、下草は丈が低く刈られ蔓は木に絡まっておらず、近寄ってみることも出来ます。

咲いている花は少なかったですが、名札で35品種確認できました。下記に列挙します。

椿コレクション

(名前のわかる限り、品種名は名札に拠る)

赤呼子鳥、曙、一楽、有楽椿、王将君、月光、寒咲赤侘助、錦魚葉椿、孔雀椿、熊谷、虹玉、五色八重散椿、胡蝶侘助、佐保の春、日光(紅唐子)、白菊月、九曲(ジュトレ)、昭和侘助、宗旦、素白、太神楽、大城冠、大山白、玉之浦、月の輪、津川絞、糊こぼし、白寿、初嵐(嵯峨)、春の曙、光源氏、雛侘助、夕映え、宵月、楼蘭

 

「寒咲紅侘助」にはニッコリ笑顔の牧野富太郎博士と思しきイラストP O Pがついていました。園に問い合わせると、2023年にNHK連続テレビ小説「らんまん」が放映されるのにあわせてスタッフの方が描いた牧野博士だそうです。牧野博士に出迎えられたような楽しい気持ちになりました。

寒咲赤侘助 名札_宇治市植物園

路地の植栽地とは別に温室では中国の黄色い椿「金花茶」も咲くようです。

 

 

見ることのできたツバキ・サザンカ

4月

<2025/4/1>

五色八重散椿_宇治市植物園_20250401

熊谷_宇治市植物園_20250401

室町時代の地層の種子から咲いた「室町椿」

宇治市植物公園の椿については、「室町椿」を復活させたことが知られます。

室町椿とは、1997年(平成9)に平等院鳳凰堂南背後部の庭園発掘調査によって池の底の室町時代中期の地層から見つかったツバキの種子が発芽したものです。Web版四国新聞(2003/4/8)の記事によると、平等院鳳凰堂の池跡の発掘調査で出土したツバキの種子を冷蔵庫で保管していたが、整理のため取り出したところ発芽したそうです。

「室町椿」と名付けられた実生の個体は平等院より宇治市植物公園に栽培管理が委託されました。リスクヘッジのためツバキ生産業者の山口三十治氏の指導で接木株を作り、以後、発芽した実生株とともに接木株を育ててゆきます。

こうした苦労の末、接木株が2003年春に初めて花を咲かせました。この年実生株は地植えに適当な大きさになったことから平等院に返却されました。

 

宇治市植物公園の写真を見ると、花は一重咲きで花弁はやや紫色を帯びた濃桃色に見え、太く白い筒状の雄しべが目を引きます。

「室町椿」の由来について山口三十治氏は「色合いや形が室町時代に中国から伝わった品種に似ている。日本のヤブツバキとの雑種ではないか」と見立てていました。(https://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20030408000195

実際はどうなのか、神のみぞ知るところです。

 

私はまだ見たことはありませんが、平等院公式サイトによると毎年2〜3月に室町椿が開花するそうです。宇治市植物公園の鉢植えの室町椿も花の状態が良いと展示されるそうです。

600年以上も前の時代から現代にやってきた椿が花咲くなんてロマンです。いつかそれぞれの室町椿を見られる日が来ると嬉しいです。

 

宇治市植物公園に質問のメールを送ったところ、担当の方から資料も付けて丁寧なご返事を頂戴いたしました。ご親切に感謝します。

 

<訪問日:2025年4月1日 晴天>

 

データベース

【名称】宇治市植物公園

【コレクション】 約種

【花期】

【所在】〒611-0031 京都府宇治市広野町八軒屋谷25-1

【備考】

・開園時間: 9:00~17:00(入園は16:00まで)、入園料:大人600円

・定休日:月曜休園(祝日の場合、翌日休園)、12月28日~1月4日

・問合せ:TEL.0774-39-9387

【公式サイト】https://uji-citypark.jp/botanical

 

 

アクセス

・京阪・JR奈良線宇治駅から、京都京阪バス240・240A・250A系統「近鉄大久保」行き、「植物公園」停留所下車すぐ。

 

参考文献

・最新日本のツバキ図鑑,日本ツバキ協会編,誠文堂新光社,2010

・宇治市植物公園:https://uji-citypark.jp/botanical

・公益財団法人宇治市公園公社:https://uji-citypark.jp/pages/12

・宇治市公式サイト:https://www.city.uji.kyoto.jp/soshiki/36/4942.html

・四国新聞(Web版、2003/4/8) 時を超え、ツバキ咲く/平等院で出土した種が成長:https://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20030408000195

・平等院:https://www.byodoin.or.jp/saijiki/

・京都府観光ガイド 平等院:https://www.kyoto-kankou.or.jp/event/1402

・展示パネル「室町椿」について,宇治市植物公園,2008

・展示配布資料「室町椿」について,宇治市植物公園,2008

・「和みの庭」のブログ:http://www.nagominoniwa.net/blog/2009/08/post_2084.html

 

 

他の椿旅を見る(【椿の名所】椿旅リストへ)→