葛飾北斎の描いた椿はないものかと思っていたところ、信州小布施北斎館で肉筆画を見つけました。
椿と鮭の切り身の絵でした。
なぜ椿と鮭の切り身?
北斎の椿を見た感動よりも、モチーフの組み合わせへの疑問符で頭の中がいっぱいになってしまいました。
絵は掛け軸に仕立てられ、添えられた解説には「モチーフの組み方は西洋の静物画を思わせるような構図」と書かれていました。
北斎81歳の作品です。
よく椿を見ると、花弁がピッタリ二重に重なった八重咲の花で、花弁は紅色の絞りが入っています。現存する品種には見当たりません。当時でも珍しいものだったのではないでしょうか。地方からの献上品の取り合わせなのかもしれません
ミュージアムショップに運良くポストカードがありました。
「椿と鮭の切り身」
署名画狂老人卍筆齢八十一/絹本着色一幅/天保十一年(1840年)
鮭の切り身と椿の花を題材とする面白い取り合わせの作品。モチーフの組み方は西洋の静物画を思わせるような構図だ。江戸幕府が開かれると、寺社仏閣、武家屋敷とともに庭園も造られ、権は格式の高い植物として武士や町人に愛された。鮭は地方から献上されたものも多く高級魚であったという。一見奇妙な作品に見えるが、当時の文化が読み取れる作品である。信州小布施北斎館「北斎水族館へようこそ!」展示の絵画解説を引用
参考
・信州小布施北斎館「北斎水族館へようこそ!」展示の絵画解説