【椿の名所】琴石山の椿群生林

【椿の名所】琴石山の椿群生林

瀬戸内海に浮かぶ周防大島などの島々を一望できる絶景の琴石山は、天然記念物の山桜以外にも椿の群生林があり、春になると赤い花で山道を彩ります。

琴石山について

山口県東部の柳井町にある琴石山は標高545.5mの山で、東西南方向に海を望む眺望が素晴らしい場所です。1975年には「山口の自然100選」第1位に選ばれています。

戦国時代には毛利氏が防長制圧にあたって豊後の大友氏に備えて山城の琴石城を築きました。頂上部が本丸、そこから東に降りた狭い尾根筋に二の丸、さらに西へ尾根筋を下った平坦な尾根が西の丸、他にも尾根筋に数が所の郭跡が残るといいます。(案内板「史跡琴石山城跡」より)

かように琴石山は見晴らし良い立地が見張りに適した場所だったようで、山全体が山城として機能していたのでしょう。

琴石山からの見晴らし 宝津半島(右)、笠佐島(手前)、周防大島(奥)、柳井街並み(右手手前)

さらに案内板によると、琴石山には植林された木のほかに、昔の植林や自生のヤブツバキの林が広く分布していると言います。

山頂付近の椿の群生林

椿友のYさんの案内で琴石山の椿林を見に行きました。車で山頂付近まで登り、そこから坂道の遊歩道を行くと、すぐに道沿いに椿が見られました。斜面にも山道にも山道沿いにも、至る所に椿が生えていて、単幹もあれば株立もあります。株立は2〜3本のもあれば、7〜8本もあろうかというものもあり、自然にそうなったのか、切られてひこばえから育ったものか気になる所です。山の下の方ほど混み合い、上にゆくほど間隔が空いて椿が見やすくなりました。

花の時期なので咲き終えた花が木の元に落ちて赤くしているので一見してどの木が椿か分かります。枯れ葉が敷き詰められた山道を、シャクシャク音を立てながら登ってゆくと、自然と足元に散らばる椿の花に目がゆきますが、鳥の声に誘われるようにふと目を上げると梢に咲く花も見えたりして、楽しい山の散策です。

花は小ぶりな赤い一重、色は明るい赤や濃い紅色まで色々です。

山道は坂道がきつい場所もありますが整備され、ところどころ階段もつけられて歩きやすくなっています。道の脇や斜面位に突き出た岩を見ると険しい岩山であることを実感しますが、水捌けの良い地形は椿に向いた場所といえます。

山頂までは行かず、有名な山桜も見ずにひたすら椿の群生地を見て山道を歩きました。印象的だったのは尾根道に一定の間隔で椿が生えている様子です。風の強い場所のはずなのに4mくらいあり、硬い岩にしっかり根を張って尾根にしがみつき、尾根道を支えているかのようでした。

琴石山の尾根道 椿が多く見られる 20230320

Yさんによると椿の群生林は、山頂付近に6〜8箇所あり、合計5〜6000本の椿があろうとのこと。自然に近い状態で、斜面を中心に直径約20cm前後の木が大半を占めており、大きい木は幹回り約1mの木もあるとのことでした。

<訪問日:2023年3月20日(月)曇天>

データベース

【名称】琴石山の椿群生林
【品種】ヤブツバキ
【大きさ・形状】椿の群生林は山頂付近に6〜8箇所、合計5〜6000本、単幹や株立
【樹齢】不明
【花、葉】赤、一重
【花期】2月~3月頃
【所在】山口県柳井市柳井
【備考】
・問合せ:(琴石山について)柳井市経済部商工観光課 TEL. 0820-22-2111
おいでませ山口へ・山口県観光サイト:https://yamaguchi-tourism.jp/spot/detail_15046.html

参考文献

  • 案内板「史跡琴石山城跡」
  • 山口県柳井市・琴石山,ジャパン・カメリアN o.92,矢野芳春,日本ツバキ協会,2010

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