【椿の名所】第35回全国椿サミット五島大会2025と福江の椿

【椿の名所】第35回全国椿サミット五島大会2025と福江の椿

全国から椿愛好家や自治体関係者などが集う全国椿サミット、2025年の第35回全国椿サミットは福岡県の五島市での開催でした。2005年に続き2回目で、併せて五島椿まつりも開催されます。実は2020年に国際ツバキ会議と同時開催の予定でしたがコロナ過で中止となり、今回はそのリベンジ開催ともいえる大会です。

第35回全国椿サミット五島大会

概要

開催日程:2025年2月22日(土曜日)・23日(日曜日)

メイン会場:五島市立福江文化会館

内容:

・2月22日(土曜日)

全国椿サミット五島大会(アトラクション、講演等)、各種展示、特産品の販売、交流会

・2月23日(日曜日)

現地視察(五島椿園、聖母の大椿・円畑、玉之浦発祥の地など)

 

オープニングセレモニーは、聖マリア保育園の子供達による太鼓と、五島出身の五島つばきさんの歌のステージ。主催五島市の出口太市長、共催の日本ツバキ協会山口聰副会長の挨拶があり、五島つばき蒸溜所代表の門田邦彦氏による椿のタネをキーボタニカルにしたクラフトジン「GOTOJIN」の開発輪やコンセプトの講和に続き、パネルディスカッション「ジオパークの視点から見た五島の椿について」が行われ、五島市における「産官学民一体となった取り組み」の様子や「椿プロジェクト」の具体的な商品開発や活動についての紹介がありました。

五島市は椿を核とした産業振興や観光の活性化が目覚ましくマスメディアにもよく登場するようになっています。近年はマンガ、ドラマ、映画のロケ地としてもよく登場しています。サミットではそうした実態の一旦に触れることができた大変濃厚な内容でした。恒例のシュシュの歌は五島市内の小中高合同ブラスバンドとの演奏でした。最後に抽選会で盛り上がり、次回、大船渡大会の挨拶を市長のビデオメッセージで終了しました。参加人数は約800名だそうです。

お土産

今回も開催市や地元企業や団体。協賛企業からたくさんお土産をいただきました。

また椿サミットの様子は翌23日の長崎新聞でも紹介されました。

懇親会

夕方からの懇親会では、地元の方からチャンココという五島に800年以上前から伝わる念仏踊りや太鼓の演奏でもてなしを受けました。途中で太鼓の演奏と共に大人四人が担ぐ特大舟盛りが運び込まれて会場を沸かせました。長さ1.5mくらいもある船には新鮮な刺身が山盛りです。驚いて見ていると近くにいた方が、あれは奈留島の舟盛りで、奈留島では一艘に刺身、もう一艘に貝を盛ってお祝い事や祭りで供するのだとおっしゃったのでさらに驚きました。

地元の美味美酒に舌鼓を打ち、普段は会えない遠方の椿友を見つけて話したり一緒に写真を撮ったりしているとあっという間に宴は終了、名残惜しい気持ちを抱えつつも翌日の見学会を楽しみに宿へ引き上げました。

現地視察

椿サミット2日目は5つのコースに分かれて現地視察です。私は島内の椿製油所、今村椿製油所の見学と五島椿園のコースです。

福江島はヤブツバキが多く植生する島であり、今でも各地に群生地が残ります。

五島市ツバキ群生地地図2 世界文化遺産久賀島の集落 奈留島の江上集落(江上天主堂とその周辺)より

これらのヤブツバキは畑や家の防風林として役立ったり、椿油をもたらしたりして島の人々の生活を助けました。福江島を含め五島列島にはヤブツバキが11000万本あると言われています。椿油の産出量が多い地域として有名で、椿油は江戸期、福江藩(五島藩)時代から作られ、江戸にも送られていたそうです。

福江島の北西部の三井楽地区は円畑(まるはた)と呼ばれる、椿が畑を守る防風林として植えられた独特の景観が広がる場所があります。

→【椿の名所】三井楽半島の椿林・円畑(まるはた)と聖母の大椿

今村椿製油所

椿油の搾油工場見学は今村椿製油所に伺いました。

平屋の工場には昭和期頃の玉締め式の搾油機と新しい搾油機の新旧2タイプの機械が用意されていていました。代表の今村光博氏が椿油の製造工程を丁寧に説明してくださり、機会の動く様子も少し見ることができました。

敷地内に玉之浦が咲いていましたが多くはヤブツバキのようです。実の確保のために自社で約4000本のヤブ椿を育成しているそうです。

五島椿園

五島椿園は1998年に完成し、国際ツバキ協会による国際優秀ツバキ園に認定されているツバキ園です。総面積は6.0ha、椿品種数は259種、自生するヤブ椿を含め約2,800本のツバキが植栽されています。特徴的なのは玉之浦が100本以上植栽されたエリアがあることで、ご当地感が出ています。例年2月頃が見ごろだそうですが今回は花数が少ないようでした。

→【椿の名所】五島椿園

玉之浦の生まれた島

サミット大会でも紹介があったように、福江島は国内外で人気の高い「玉之浦」の生まれた場所です。その事を誇るようにサミット会場入り口には、くっきりと白い覆輪に彩られた玉之浦が活けられており来場者を出迎えてくれます。会場近くの石田城(福江城)跡や高校にはたくさんの玉之浦が植栽され、中には樹齢数十年と思しき木もあります。これだけの玉之浦を見ることは他ではなく、玉之浦の島に来たことを実感しました。

玉之浦コレクション

玉之浦は福江島の父ヶ岳七ツ岳に自生していたヤブツバキの突然変異個体を原木とする品種です。1947年(昭和22)炭焼業の有川作五郎氏が発見し、1973年(昭和48)に元玉之浦町長の藤田友一氏が長崎市の全国椿展で紹介して世に広めました。

残念ながら原木は乱獲により枯死しましたが、発見場所には記念碑が立てられ、2世の木が育っています。

玉之浦発見地_2025椿サミット五島大会公演スライドより

こんなところにも椿!

五島市立福江文化会館の緞帳

→椿図案マンホール・消火栓

 

<訪問日:2025年2月21日-23日 晴天>

アクセス(五島市)

・飛行機:長崎空港から福江空港へ30分、福岡空港から福江空港へ45分。空港から市街地までバスで約15分。

・船舶:長崎港から福江港へジェットフォイルで1時間25分、フェリーで3時間55分。

参考文献

・第35回全国椿サミット五島大会パンフレット

・世界文化遺産久賀島の集落 奈留島の江上集落(江上天主堂とその周辺),長崎県五島市

・五島市椿情報サイト幻の椿_つばきと五島市_玉之浦:https://www.city.goto.nagasaki.jp/tsubaki/010/030/20190122215725.html

・今村椿製油所:https://www.imamura-tsubaki.jp/index.html

 

 

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