椿のブックカバーと石牟礼道子『椿の海の記』

椿のブックカバー_1

石牟礼道子は熊本生まれの詩人で作家。水俣病を扱った「苦海浄土」が著名です。ずっと意識をしながらも重々しく厳しいテーマと文体に二の足を踏んで、なかなか著作を読むことができなかった作家。先般、志村ふくみとの対談と文通を書籍にした「遺言を読み、ようやく書籍を読む気持ちになりました。表紙に赤い薮椿の花がちりばめられた本にかけるブックカバーは、自然と赤い椿がたくさんプリントされたガーゼのカバーになりました。

『椿の海の記』(石牟礼道子/ちくま書房)は4歳頃の著者の目から見える世界が綴られているとても美しい本です。生きると言うことの重く厳しい現実を記しながら、豊かで優しい感情の交錯するこの本を読むにつけ、ブックカバーの柔らかなガーゼの手触りはしっくりなじんでゆき、読み終わる頃には、このカバーの持ち主はこの本以外になくなっていました。たまにこのような本とブックカバーの出会いがあります。今も「椿の海の記」には柔らかなガーゼ地に椿がたくさん咲くこのカバーがかけられたまま本棚に収められています。

この本の中に出てくるつばきの記載は、赤い花を咲かせる風景として、病弱な弟が椿の木に挟まった事件について、そして著者の祖母のおもかさまと、お澄さまが椿の搾り粕で髪を洗う様子である。
「椿の搾りかすの香りが立っている足の高い洗い桶」「椿の実の煮汁」や「熱さ加減にしたてた椿の実煎じ汁」「白い煮汁」と言う言葉から、椿の搾りかすを煎じた汁に髪を浸けて洗う様子が伺えます。

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