2025年東京国際ツバキ大会

2025年東京国際ツバキ大会

ツバキは世界中に愛好家がいて国際ツバキ協会(International Camellia Society /ICS)では隔年で会員のいる国で国際ツバキ会議を開催します。2025年は本来アメリカで開催される予定でしたが、諸般の事情で開催が難しくなりました。モッタ会長の要請で急遽日本で開催が決まったのは2023年のこと。それから2人の日本地域の理事の下、急ピッチで準備が進められ、無事に開催となりました。

参加者は16か国175名、海外からの来日した会員133名と日本メンバー31名。

開会式では特別ゲストに高円宮妃久子殿下、小池百合子都知事、鷹司尚武統理をお迎えして、華やかで格調高い会となりました。

日程

本会議を含め最長11日間の日程は、各地の椿の名所を数多くの視察先を巡る盛りだくさんなものでした。理事の采配と、多くのボランティア、訪問先の椿に関する各施設の絶大な協力があって成し遂げられたといえます。

プレコングレス・ツアー:3月7日(金)~9日(日)

・視察:Aコース(北陸)

金沢城、兼六園、百万国つばき展、カイニョと椿の森公園いのくち椿館、富山県中央植物園、野々市中央公園椿山・ののいち椿館

・視察:Bコース(伊豆大島)

椿花ガーデン、都立大島高校椿園、都立大島公園ツバキ園、大島島内椿油工場((株)大島椿製油所、(株)椿)、小室山つばき園

 

本会議:3月9日(日)~13日(木)

・開会式、歓迎晩餐会

・研究発表

・視察:Cコース(伊豆大島)

氷室椿庭園、小室山つばき園、椿花ガーデン、都立大島高校椿園、都立大島公園ツバキ園、大島島内椿油工場((株)大島椿製油所、(株)椿)

・視察:Dコース(埼玉)

埼玉県花と緑の振興センター、大宮盆栽美術館と盆栽村、国営武蔵丘陵森林公園、神代植物園、こどもの国椿園、町田薬師池公園椿展

・閉会式、晩餐会

 

ポストコングレス・ツアー:3月14日(金)~17日(月)

・視察:関西

服部緑地都市緑化植物園、大阪市立自然史博物館(岸川蔵書コレクション見学)、慈照寺、霊鑑寺、京都府立植物園、元離宮二条城

本会議

私はホスト側の日本のメンバーなのでツアーに加わることはありませんでした。ツアーのアテンドやガイドは英語が堪能な方々にお任せして、事前の準備、協力してくれるメンバーの取り持ちなどのお手伝いをしていました。参加した公式行事は、本会場となった椿山荘での開会式と閉会式、それに伴う晩餐会です。

本会議の会場は東京の目白にあるホテル椿山荘東京です。椿山荘は明治の政治家山縣有朋がこの景勝地を購入し趣味の作庭に勤しみ、「椿山荘」と命名しました。椿山荘の名の由来は、かつてこの辺りが「椿山(つばきやま)」と呼ばれるほど椿が生い茂る場所であったからです。現在の庭は太平洋戦争で焼失した後に植栽され直したものです。椿にゆかりの深い椿山荘はツバキの国際大会に相応しい会場と言えましょう。

3月9日の13時より順次到着した参加者の大会受付を行いました。受付表にチェックし、前日夜遅くまでかかかって準備をした記念品のセットを渡し、晩餐会の席次をお知らせします。170人以上の受付はピーク時には大混乱を呈しました。

早めにチェックインしたメンバーは椿山荘や近くの肥後細川庭園のガイドツアーに参加して楽しむことも可能です。受付横でガイドツアーに申し込み、早速出かける方々も多くいました。

開会式・歓迎晩餐会 3月9日(日)

2025年東京国際ツバキ大会の開会式では、金屏風を仕立てた壇上に設けられた貴賓席には、来賓の高円宮妃久子殿下、小池百合子都知事、鷹司尚武統理、日本ツバキ協会箱田直紀会長、国際ツバキ協会モッタ会長、大会委員長田中孝幸理事が並び、厳かで華やかな雰囲気となりました。

久子妃殿下と小池都知事の挨拶はいずれも流暢な英語でした。久子妃殿下は椿について語り、実母の鳥取二三子様が椿油を使っていた事や、椿の花弁に黒い跡が付いているのを不思議に思って観察していると、それは蜜を吸いに来たメジロの足跡だったことを発見したという可愛らしいエピソードを披露されました。

続く晩餐会にも久子妃殿下も参加されて、食事が落ち着く頃になると参加者が次々に挨拶に訪れて言葉を交わしていました。

閉会式・晩餐会 3月13日(木)

喜多流仕舞「羽衣」で幕を開けた閉会式は、理事会報告、様々な表彰と順調に進行しました。席は自由、会話は旅の思い出や続くポストツアーへの期待などです。

次回は2027年にアメリカで開催されます。

花芸安達流による迎え花

椿山荘ホテル棟の入り口正面とエレベーターホール前には、国際ツバキ大会開催を祝した花芸安達流二代主宰・安達曈子氏による迎え花が生けられ、メンバーを歓迎しました。

椿に縁の深い安達流ですが、入り口正面の迎え花は、大きな青竹を土台にさまざまな器に多様な椿を活けた百椿図のような生花作品でした。

エレベーターホール前の生花は、同じく青竹を土台にしていますが、そこに緑の葉が艶やかで美しいヤブツバキを鬱蒼と盛り上げ、桜の花枝を差し入れた、春めいた生花でした。通る人々がみな足を止め、写真を撮る様子が印象的でした。

その他あれこれ

椿のプティガトー

歓迎晩餐会と閉会式晩餐会ではそれぞれデザート後に、椿の図柄の入ったプティガトーが出されました。いずれも可愛らしくて食べるのが勿体無いくらいです。

椿作品展示

ホテル椿山荘のホテル棟のフロント横には美しい工芸品が展示されていますが、会期中には、陶芸家、望月集氏の花文壷「椿」が飾られていました。

望月集氏は数多くの椿をモチーフにした作品を制作されていますが、今回の展示もその一つ。高さ30cm余の椿の花瓶はいける花をも凌ぐかと思わせる美しさです。

元々椿山荘は庭の椿だけでなく、館内を椿をモチーフにした絵画で装飾し、ショップには椿商品が豊富に取り揃えられていますが、椿の花の季節にはさらに展示される工芸品も椿のものになることが多いようです。

庭に出ると光の花咲く庭を雲海が覆い、空には朧の月が浮かんでいました。

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