鎌倉五山の一つとして知られる北鎌倉にある臨済宗の大本山、円覚寺。父方の菩提寺があるので子供の頃から行き慣れた場所でしたが、大人になって、あちらこちらに椿が植えられていることに気がつきました。(以下の場所は関係者以外は入れない場所もあります)
円覚寺のこと
円覚寺は鎌倉時代後半の弘安5年(1282)に、8代執権・北条時宗が中国・宋より無学祖元禅師を招いて改竄されました。
寺名の由来は、建立の際に大乗経典の「円覚経(えんがくきょう)」が出土したことからといわれます。山号は「瑞鹿山(ずいろくさん)」で、これは仏殿開堂落慶の折に無学祖元禅師の法話を聞こうと白鹿が集まったという逸話からつけられたといわれます。
創建以来、北条氏をはじめ朝廷や幕府からの篤い帰依を受けながらも、いくたびも火災にあいました。
帰源院
墓参用の入り口にほど近い場所に上り口のある帰源院。急な坂はかつては徒歩の階段だけでしたが今は車で登れる舗装された道があります。この道ができた時、祖母が「これで歩かないから足が弱っても車で連れてきてもらえる」と嬉しそうでした。法事や墓参は大事なものと子供心に感じたものでした。
急勾配を登ると左手に階段、そちらを横目に勾配が緩やかに変わる舗装道路を進みます。緩やかな坂の途中には、春になると、ぽとりぽとりと落ち椿。運悪く車に轢かれてしまうと花はみな潰れた姿に。または運が良いと梢を渡るリスの姿を見ることもあります。
墓参や法事の季節によって、梅や蓮などいろいろな花が出迎えてくれるこの場所で、花を見ながら故人を想います。そうやってゆっくり気持ちを整えるのです。
境内のあちらこちら
墓参を終えて久しぶりに円覚寺を歩くと、満開の白梅が何本もあり、導かれるように奥へ奥へと歩いて行きました。
気がつくと境内の薄暗い木の下、ところどころに咲く園芸品種の椿の赤い色が目に止まります。お寺の関係が植えられたのでしょうか。禅宗のお寺の落ち着いた境内に華やかな色合いを添えています。
梅と薄桃色の椿、太郎冠者。近寄ってみたいけど、お墓のない塔頭には入れないので、そっと外から拝見します。
黄梅院
梅や椿に誘われて歩くうち、とうとう境内の最奥の黄梅院まで辿り着きました。
黄梅院は、北条時宗のために夫人の覚山尼が建てた華厳塔の敷地に、円覚寺十五世夢窓疎石(夢窓国師)の弟子が開宗した墓所。
門を潜ると右手に置かれた手水鉢。今時は花をたくさん入れるのが流行りのようだけれど、傍らにそっと添えるのも奥ゆかしくて良いと思う。
静かさと長閑な美しさのある黄梅院の庭は、円覚寺の中でも私の好きな場所。白梅のように清廉な白椿が似合います。
こちらの庭は草木がとてもたくさん植えられており、四季を通じて様々な花が咲いています。その中でも椿はひときわ種類が多いように見受けられます。
<訪問日:2023年3月4日(土) 晴天>
データベース
【名称】臨済宗大本山瑞鹿山円覚寺
【花期】 3〜4月
【所在】〒247-0062 鎌倉市山ノ内409
【備考】拝観時間:3月~11月 午前8:00~午後4:30、12月~2月 午前8:00~午後4:00
拝観料金:大人500円(高校生以上)、小人200円(小中学生)
・問合せ:TEL:0467-22-0478
【公式サイト】https://www.engakuji.or.jp/
アクセス
- JR横須賀線「北鎌倉駅」下車徒歩1分
参考資料
- 円覚寺パンフレット、境内内説明板
- 円覚寺公式サイト:https://www.engakuji.or.jp/