江差はかつては北海道の交易港として各地からたくさんの人々が集まり栄えてました。港を見下ろす小高い場所にある成翁山法華寺は歴史が古い由緒ある古刹で、江戸時代には松前藩の保護を受けていました。この庭の一角に、松前藩主が内地より取り寄せたという椿の古木があります。
港を見下ろす古刹にの古木椿
法華寺の歴史は正応4年(1291年)に日蓮上人の弟子の日持上人が上ノ国村小堀(現在の上ノ国小森)に渡り経石を埋めた伝説が後に法華堂となったことに始まります。江戸時代に江差町沢町に移転再興したものの焼失、享保61年(1721年)、現在地に再建されました。本堂の天井画は寛永年間に池大雅のよって描かれた「八方睨みの龍」(町指定有形文化財)で、藩主の弟であった松前廣長の寄進です。
松前藩主が内地より取り寄せて寄進した椿
中庭にある欅と椿もまた松前藩主が内地より取り寄せ苗木を法華寺に寄進したものです。北国の布教の礎として植えたものといわれています。欅は樹齢400年、椿は樹齢260年を超えると伝わっています。現在はともに北海道記念保護樹木に指定されています。
北海道記念保護樹木に指定された昭和48年(1973年)には、幹回り20cm、樹高3m、推定樹齢190年、とあります。私の見学した2019年には約250年くらいになっている勘定です。
庭には降りることはできなかったので室内から拝見しました。北海道檜山振興局のサイトにあった写真よりも大分小さくなっています。雪風で幹が折れたのかもしれません。花はありませんでした。
法華寺のパンフレットによると、「寒椿の大樹」として紹介されており、
当寺中庭に咲く椿で毎年極寒の12月から咲き始め春5・6月頃に散り了える。椿独特の濃淡のはっきりした花葉は雪の白さと相俟って素晴らしい。樹齢200年以上を迎え、ますます艶やかな花弁が咲きこぼれる様は一服の絵に例えてよい。
法華寺パンフレットより
とあります。
また境内にある法華寺の縁起にも以下のようにあります。
【寒椿】最北限の寒椿。自然保護樹。樹齢220年以上。
法華寺の縁起より
訪問した5月終わり頃に花は見られませんでしたが、境内裏手には椿の木があり花が残っていました。パンフレットある濃赤の花を髣髴とさせる色でした。中庭の椿の実生か挿し木ではないかと思われます。中庭の椿もこのような花が咲くのではないでしょうか。
<訪問日:2018年5月24日>
樹齢260年を超える椿とともに北海道記念保護樹木に指定されています。
データベース
【名称】法華寺の椿(ほっけじのつばき)
【大きさ・形状】
【樹齢】260年以上
【花、葉】
【花期】4月中旬〜下旬
【所在】〒043-0043 北海道檜山郡江差町字本町71 法華寺境内
【備考】
・営業時間:9:00~17:00 内部見学時は事前問合せが必要
・問合せ:0139-52-0355(法華寺)
・北海道記念保護樹木に指定
アクセス
- 函館から車で約1時間45分
- 函館バス橋本町停留所から徒歩約5分
参考文献
- 法華寺パンフレット
- 北海道方式サイト檜山振興局:http://www.hiyama.pref.hokkaido.lg.jp/ss/srk/tabi/07esashi/parts/3707hkj.htm
- 江差町役場サイト:https://esashi.town/tourism/page.php?id=83