<訪問:2017年4月5日晴れ>
高い椿の生垣のがつくりだす わびさびへの入り口
銀閣寺の呼び名で親しまれる東山慈照寺は、日本人なら一度は訪ねたことのある古刹の一つ。見事な庭園に至る前の参道には、椿の生垣があります。
総門をくぐり右に折れて、中門までの50mほどの細い参道に至ると、視界いっぱいに参道の両側を囲んで高々とそびえる生垣が現れます。
それが椿など樹木からなる丈の高い生垣であることは知っていたものの、実際に目にすると迫力に驚きます。生垣と言われてイメージするのはせいぜい2メートル程度ではないでしょうか。しかしこの生垣は高さ5メートルほどもあります。まるで要塞の壁のよう。圧巻です。
白い砂利道を踏んで天面と壁面を綺麗に刈り込まれた生垣の間を歩くと、自然と左右の視界が阻まれて意識がまっすぐ進む前に向ってきます。総門から中門に至るこの高い生垣は外界から意識を切りはなして、これから向かう静かなわびさびの世界のための序章なのかもしれません。
生垣の形式
生垣は総門を背に左側(東側)と右側(西側)では様式が異なります。
左側(東側)は、石垣の上に1メートルほどの竹垣を築きその上に椿などの常緑樹の背の高い生垣がそびえています。石垣上に建仁寺垣を低くして乗せ一体化させるように見せるこの竹垣の形式は「銀閣寺垣」と呼ばれ、銀閣寺のこれが原型。
右側(西側)は石垣の上に生垣が二段構えになっています。こちらも生垣の植物は椿などの常緑樹。
左右でどうして形が違うのかわかりませんが、変化があることで却って趣が生まれていると言えるかもしれません。
生垣の表と中の椿の様子
生垣の表面は綺麗に刈り込まれて整っているのに、隙間がなく葉がみっしりと茂っていて負荷緑一色で綺麗です。花の時期なので、赤い花がところどころ咲いてアクセントになっています。
生垣の中の様子も気になって覗いてみました。表の様子から想像したほど枝が密生してはいませんでした。根が持ち上がったり斜めに生えていたりと、かなり無理な感じですが、椿の木自体の様子は、ほどよく枝が伸び葉を茂らせています。幹の木肌の色も健康そうです。とてもよく手入れされているのでしょう。
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生垣の性質上、表面を整えるために花芽も切られてしまうのでしょうが、まだ生垣として刈り込まれていない木にはヤブツバキの赤い花が咲いていて彩りを添えてくれています。
銀閣寺の庭の太郎冠者
庭の美しさが秀逸な銀閣寺ですが、案内に沿って散歩したところ、一角に太郎冠者が植えられていました。別名、有楽。京都では織田有楽斎に因んだこの名の方が通りがいいかもしれません。京都の寺院のあちらこちらで見かけますが、ここにもありましたか。
そろそろ盛りも終わりのようでしたが、苔むした地面にピンク色の花を落とした姿は愛らしいものでした。
他にも園芸品種がちらほらと見られたり、裏山にもヤブツバキが咲いていたりしました。
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データベース
【名称】銀閣寺(慈照寺)椿の生垣
【花期】3月〜4月
【所在】〒606-8402 京都市左京区銀閣寺町2
【備考】開館時間や休日:夏季(3/1-11/30)8:30~17:00、冬季(12/1- 2/末日)9:00~16:30、年中無休
・問合先:慈照寺 事務局/ TEL:075-771-5725
・オフィシャルサイト: http://www.shokoku-ji.jp/g_about.html
【アクセス】京都市バス「銀閣寺道」下車徒歩1分
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参考文献
三省堂大辞林
臨済宗相国派オフシャルページ