【椿の名所】光が丘夏の雲公園ツバキ園

東京都練馬区にある光が丘は、光が丘駅を中心に広がる住宅地と公園からなる地域です。都立光が丘公園は都内有数の広さですが、団地内にも多数の公園が点在し、人々の憩いの場となっています。その公園の一角に椿園があることはあまり知られていません。

光が丘地域の区立近隣公園は4つあります。四季の香公園、春の風公園、夏の雲公園、秋の陽公園と、いずれも情緒のある名前が付けられています。いずれもさまざまな植物が植えられ、広場や花壇があり、住民の憩いの場となっています。

その一つ、光が丘駅にほど近い 夏の雲公園には、園芸品種の椿を数十種類も集めたツバキ園があります。駅から徒歩2分ほど、高層団地に囲まれた一角です。

椿の講演とツバキ園観察会

2020年3月20日、光が丘の花とみどりの相談所において「ツバキの観察会~長寿の木、椿を楽しむ」が行われました。日本ツバキ協会 副会長の小門廣氏によるツバキの基礎知識の講演と実際に夏の雲公園椿園を歩いて椿を見て楽しむ会です。私もお手伝いと称して参加しました。

小門氏の講演は、ツバキ属の基礎的なお話の後に、ツバキの花形や大きさ、咲き方、ツバキとサザンカの見分け方など、実際に花を見るときに役立つ知識のお話でした。講演の後は部屋を出て5分ほど歩いて椿園に向かいます。椿園の入り口には、ツバキについて書かれた案内版が設置されています。

光が丘夏の雲公園椿園
光が丘夏の雲公園椿園
光が丘団地椿園

案内板を右手に見ながら中に入ると、ぐるりと見渡せる程度の広さの場所のさまざまな品種の椿が植えられています。 歩道沿いに植えられているので近寄って花を見ることができますし、多くは名札が付けられているので名前を知ることもできます。また、花とみどりの相談所から 頂いた椿園の品種表には、品種名、花の写真、特徴などが一覧化されており、とても役に立ちます。

春爛漫のあたたかな日差しの下、数名の小さなメンバーによる椿ツアーです。日ごろの手入れがとても良いのでしょう、花は 驚くほどよく咲いていました。 聞くところによると住民組織の方々によって管理されているとのこと。並大抵の手入れではないと思いますが、おかげで私たちはサクラがほころび始めた小さなツバキ園で美しく咲く椿の数々を堪能できました。

咲いてた椿

2020年3月

3月20日と10日後の3月30日に訪問した時に見られた椿の花々です。30日は桜も咲いて椿も満開でした。

光が丘夏の雲公園椿園
漣 光が丘夏の雲公園椿園20200330
漣 
崑崙黒53 光が丘夏の雲公園椿園20200330
崑崙黒53
三浦乙女 光が丘夏の雲公園椿園20200330
三浦乙女 光が丘夏の雲公園椿園20200330
百合椿 光が丘夏の雲公園椿園20200330
百合椿 光が丘夏の雲公園椿園20200330
胡蝶侘助 光が丘夏の雲公園椿園20200330
胡蝶侘助 光が丘夏の雲公園椿園20200330
後瀬山 光が丘夏の雲公園椿園20200330
後瀬山 光が丘夏の雲公園椿園20200330
磯波 光が丘夏の雲公園椿園20200330
磯波 光が丘夏の雲公園椿園20200330
紺侘助 光が丘夏の雲公園椿園20200330
紺侘助 光が丘夏の雲公園椿園20200330
暁山gyozan 光が丘夏の雲公園椿園20200330
暁山gyozan 光が丘夏の雲公園椿園20200330

品種名のわからないものもいくつもあります。この花もその一つ。そば「リリーポンズ×ファイヤーダンス」の名前板が。もしかしたらこの木でしょうか。だとしたらこの花はまだ名付けられていない新品種ということになります。両手を合わせたほどの大きさの極大輪の花は花自体の重みのために下を向いて咲いています。けれど、淡い桃色でひらりと広がった花弁をしていて軽やかな印象です。見上げるほど育った木は花盛りを迎え、花々は見上げる私のほうを向いているので春を寿ぐ天女が舞い降りてくるように見えます。

2020年2月

講演に先駆けて2月に下見に来たときは、まだ開花時期には早く蕾の木が多い状態でした。

絞万葉 光が丘団地椿園20200221
絞万葉 光が丘団地椿園20200221
赤万葉 光が丘団地椿園20200221
赤万葉 光が丘団地椿園20200221
赤万葉 光が丘団地椿園20200221
赤万葉 光が丘団地椿園20200221
筑紫の春 光が丘団地椿園20200221
筑紫の春 光が丘団地椿園20200221
荒獅子 光が丘団地椿園20200221_
荒獅子 光が丘団地椿園20200221_
月見車(関東)光が丘団地椿園20200221
月見車(関東)光が丘団地椿園20200221
中部月見車 光が丘団地椿園20200221
中部月見車 光が丘団地椿園20200221

そのような中で花盛りだったのは、明石潟の名札のついた木。たくさんの花を咲かせていました。しかしこの明石潟、通常の明石潟とは異なる様子をしています。花弁の縁にギザギザが見られるのです。別の花、もしや新花では?と心躍りますが未確認です。

椿園の成り立ち

この公園を知ったのは偶然した。2020年2月に初めて行き、その特異さと植栽されている椿のコレクションのすばらしさに驚きました。まず、このような形で団地の一角に椿を専門に集めた公園があること自体が不思議です。そしてそこにある椿の品種は、他の椿園で見ることの少ない珍しい品種がいくつもあるのです。

公園を管理している練馬区立花とみどりの相談所が作っている「花とみどりの探索マップ 夏の雲公園」にはツバキ園に植えられている椿の品種名が数多く載っています。そのうちの一つ「横山薄化粧」という品種名に目がとまりました。

椿で横山といえば、横山三郎氏の名が思い浮かびます。椿に造詣が深く、日本ツバキ協会会長を務められたこともあり、かつて座間のご自宅の広大な敷地に膨大な椿のコレクションを有していたことでも有名な椿界の大御所ともいうべき方です。では、その横山三郎氏のコレクションがここにあるのでしょうか? だとすればなぜ? このような椿園ができたのかとても不思議であるとともに興味がわき、公園を管理している緑の相談所のT氏に質問して教えていただきました。

花とみどりの相談所内の資料には椿園の目録があり「横山三郎名誉会長邸より、100種100株を移された」と書かれていたそうです。目録贈呈の日付は1988年6月6日。どのような経緯か詳細は不明とのことでした。この椿園について詳しく知るS氏からもお話を伺うことができ、横山氏は練馬に住んでいたことがあり、光が丘が作られる当時、町づくりのためにとご自分の椿コレクションの寄贈を申し出られたことが分かりました。1986年~87年頃のことではないかということです。

日本ツバキ協会の記録によると、1988年4月16日、17日で第1回練馬光が丘ツバキ展が開催されています。横山氏寄贈によって椿園ができたとすれば、それをきっかけにツバキ展が始まったと考えて時期も合います。ツバキ展は 1993年まで6回を重ね た記録があります。桐野秋豊会長時代(2007-2010)には花とみどりの相談所で講演と椿園の観測会が行われていたとのことでした。その後も講演と椿園の観測会は今年まで続いてきました。

植栽時の「ツバキ園植栽位置図」を見ると、目録のとおり、確かに100種100株のツバキの品種名と場所が記されています。けれど2010年(H22)の植栽位置図ではなくなったいる品種や、別の品種に変わっている木、わからなくなっている木があり、本数も86本になっています。2020年3月現在はさらに変わっています。

このツバキ園はとても小さなツバキ園ですが、他ではあまり見られない珍しい品種の椿もある貴重なツバキ園です。この稀有なツバキ園がこれまで以上に住民の方々の憩いの場となり、また地域の自慢のツバキ園として大切にされることを願ってやみません。

<訪問日:2020/2/21(金)晴天、2020/3/20(金)晴天、2020/3/30(曇天)>

データベース

【名称】 練馬区立光が丘夏の雲公園ツバキ園
【花期】2,3月にツバキが見頃
【所在】 〒179-0072 練馬区光が丘3丁目5番1号
【備考】
・地域に一般に公開されており入場無料
・問合先: 練馬区立 花とみどりの相談所 03-3976-9402(事務室)

アクセス

  • 東京都交通局大江戸線光が丘駅から徒歩5分 。