【椿の名所】平岡八幡宮

【椿の名所】平岡八幡宮

高雄山神護寺の守護神として弘法大師が勧請したと伝わる平岡八幡宮。現在の本殿は江戸時代のもので、内陣の天井絵は式の花々が咲き、長押には熨斗袋に包まれた紅白の梅と椿が鮮やかに描かれています。他にも「平岡八幡ヤブ椿」「しだれ八重白玉椿」など見どころ満載です。

弘法大師開山の山城国最古の八幡宮

京都の西北、高雄山神護寺への道筋にある平岡八幡宮は、神護寺の守護神として弘法大師が自ら描いた僧形の八幡像を御神体に、大同4年(809)に宇佐八幡宮より八幡神(=応神天皇、誉田別命:ほむたわけのみこと)勧請したと伝わる古い神社です。

平安時代末期に荒廃しましたが、建久元年(1190)神護寺の文覚により再興、鎌倉初期(1220)に文覚の高弟上覚が現在地に移築、室町時代1407)社殿が焼失するも3代将軍足利義満が再建、江戸時代末期(1826)仁孝天皇の命で現在の社殿が再建された、と言うように、長い歴史の中で荒廃や焼失などに遭いながらも、再建がなされ現代まで続いています。現在の本殿は江戸末期の整備されたもので、漆や色鮮やかな絵の具、金などが使用される華麗な装飾が目を惹きます。

本殿の花の天井と長押

決して大きくはない本殿ながら、内陣に上がると装飾の艶やかさに驚かされます。天井には江戸時代の画工、綾戸鐘次郎藤原之信による44枚の花絵が描かれ、中には椿の絵もあります。長押(なげし)には紅白の熨斗袋に包まれた紅白の椿と梅の絵が描かれています。

これらは2014年からの修復によって、文久10年(1826)の修復当時の姿を再現したものとのことです。ただ修復には莫大な費用がかかるため寄付を募りながら進められています。

本来本殿内は撮影禁止で、以前に来た時は見るだけにしたのですが、今回は思い切って宮司様にお願いしたところ許可を頂けました。本殿の天井絵と長押を写真でご紹介します。

本殿 長押右側
本殿 長押 左側

本殿の花の天井は春と秋の年2回特別拝観ができます。

平岡八幡ヤブ椿

平岡八幡宮の本殿東側には樹齢300年とも500年と言われる「平岡八幡ヤブ椿」の古木があります。鬱蒼とした茂みに隠れるように立っていますが、その花の特徴は三角形に開花すること。花弁は鮮やかな濃紅色、雄蕊の葯は濃黄色、花糸は赤みを帯びてサザンカ状に広がります。純粋なヤブツバキというよりユキツバキの血を引いたユキバタツバキなのかもしれません。花弁と雄蕊の色の鮮やかなコントラストや三角形の形が、とても目を引く花です。見頃は4月上旬。

しだれ八重玉椿「一水」

事務所の庭には「一水(いっすい)」と名付けられたしだれ八重玉椿があります。樹齢200年という古木です。梔子を思わせるぽってりと濃厚な白色の花弁で、咲き初めは花の中心に宝珠を抱き、次第に開花して八重に花弁を広げてゆきます。幹は根元から30cmほどで分かれ、幾つも枝分かれしながら細かくしなやかな枝を広げ、枝先に向かって緩やかに枝垂れさせている珍しい樹形です。見頃は3月下旬から4月上旬。

白玉椿の願い成就

平岡八幡宮には白い椿の絵馬が用意されています。面白いのは蕾と開花の2種類がセットになっていることです。蕾の絵馬は願い事を書いて奉納し、開花の絵馬は願いが成就したら御礼参りで奉納するように、とのこと。なるほど礼に適っています。

『諸社根元記』に平岡八幡宮の事として、白玉椿に願掛けをしたところ一夜で花が咲き成就したと記載があるそうなので、これにあやかっているのでしょう。

境内の椿

椿の季節の春の特別拝観に行くと、境内に咲く幾種類かの椿を見ることができますし、本殿前の神楽殿には水盤生けた椿花などが飾られています。

本堂に至る長い参道にはところどころに椿が咲き、椿の小道の案内も見られます。

しだれ八重白玉椿のある社務所には、奉納された「百椿図屏風」が展示してありました。華やかな色合いの多彩な椿を並べた屏風です。奉納した栗山工房は紅型と京友禅を融合させた和染紅型染を考案して作品を制作している地元の工房でした。

ここで見ることのできた椿

<2022年3月>

<訪問日:2022年3月25日(金)晴れ、2017年3月15日(水)曇りのち雨>

データベース

【名称】平岡八幡宮

【コレクション】平岡八幡ヤブ椿、一水(しだれ八重白玉椿)ほか

【花期】3〜4月

【所在】〒616-8271 京都市右京区梅ヶ畑宮ノ口町23番地

【備考】

・営業時間:10:00~15:30、境内入場無料

・問合せ:075-871-2084

【公式サイト】なし

アクセス

・JR西日本バス「平岡八幡前」下車(京都駅から約40分)

参考文献

 

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