【椿の名所】城南宮の梅と椿

【椿の名所】城南宮の梅と椿

平安京の守りとして都の南、伏見に創建された城南宮は、正確な創建年は不明ながら1200年にわたる歴史を持ちます。敷地内には様々なテーマの庭が設けられて花園の様相ですが、中でも落ち椿と枝垂れ梅と共に共演は城南宮のよく知られた春の光景です。

しだれ梅と落椿

城南宮神苑の春の山では、2月から3月にかけて、150本ものしだれ梅が咲いて春の訪れを告げます。 庭を埋め尽くす紅色、白、薄紅色の梅花はそれだけでも美しいのですが、椿の花が加わると一段と風情のある景色となります。

この時期に「しだれ梅と椿まつり」が開かれ、城南宮は花の宴の時期を迎えます。有名なのは、満開の枝垂れ梅と苔むした地面に赤い椿の花が点々と落ちた景色です。他では見られないこの景色を見にやてくる人も多いようで、時期には立派なカメラを持った人々が思い思いの角度から梅と椿の織りなす景色をカメラに収めています。

城南宮の枝垂れ梅と椿 20170315

自生のヤブツバキ「城南椿」と古木椿

この庭にはヤブツバキが多く見られます。枝垂れ梅と見事な景観を作る春の山の椿はヤブツバキです。沿道に竹林にさっと紅色の色彩を添える一木もあります。落ちた椿の花は石の上や草の上に置かれて見る人を楽しませています。

古くから境内に自生しているヤブツバキは「城南椿」と呼ばれ、濃赤色の筒咲きの花です。

そして平安の庭の奥、真幡寸神社の近くには樹齢200年の離宮椿と樹齢300年の藪椿が並んでいます。

椿の道

城南宮には多くの椿が植栽されていますが、これらが7つのテーマに沿って植えられていることが特徴的です。

  • 古典椿
  • 近代・現代の椿
  • 神紋に関わる椿
  • 秋咲きの椿
  • 咲き分けの椿
  • 吉祥文字を含む椿
  • 源氏物語に関わる椿

特に「神紋に関わる椿」「吉祥文字を含む椿」「源氏物語に関わる椿」といったテーマで品種を集めているのは珍しいでしょう。

「神紋に関わる椿」とは、この城南宮の御神紋が、日・月・星の三光を象った「三光の紋」と呼ばれるもので、そうした文字を名前に保つ椿が植えられているのです。例えば、「月の輪」「北斗星」「日輪」「月照」などです。

「吉祥文字を含む椿」というのも面白い切り口です。具体的には「宝」「寿」「福」といった文字を含む「宝船」「竜宝」「花冨貴」などの品種があります。

「源氏物語に関わる椿」というのも平安時代から続くこの地ならではのテーマではないでしょうか。「光源氏」「葵の上」「藤壺」「若紫」などです。

公式サイトには品種名リストと「城南宮椿図鑑」が載っています。

城南宮椿図鑑:http://www.jonangu.com/tsubaki.html

見ることのできた椿

3月

松甫堂の椿餅

「しだれ梅と椿まつり」の期間中、城南宮本殿鳥居前の参道では松甫堂(しょうふどう)の椿餅が買えます。城南宮限定品です。松甫堂の椿餅は椿餅と書いて「つばきもちい」と読ませるようです。品名にルビが振ってありました。

道明寺餅で餡を包み、椿の葉で上下を挟んでいるところは一般的な椿餅と同じですが、椿の葉先と元を切り詰めてあったり、餅の上に雄しべに見立てた黄色の餡を乗せて白玉椿に見立てているところが特徴的です。

<訪問日:2017年3月15日(水)晴れ、2022年3月25日(金)晴れ>

<追加修正:2023年8月23日>

データベース

【名称】城南宮
【コレクション】ヤブツバキ300本、園芸品種32種類
【花期】 12月〜3月(ヤブツバキは2月下旬〜3月)
【所在】〒612-8459 京都市伏見区中島鳥羽離宮町7番地
【備考】
・梅と椿のある神庭は入場料大人600円、拝観時間9:00~16:30
・問合せ:TEL.075-623-0846
【公式サイト】http://www.jonangu.com/index.html

アクセス

  • 京都駅(八条口)より直通バス・京都らくなんエクスプレス、城南宮で下車徒歩2分、または油小路城南宮下車で徒歩3分。
  • 京都駅から京都市営バス19号系統、城南宮で下車、徒歩2分

参考文献

  • 城南宮公式サイト:http://www.jonangu.com/
  • 城南宮パンフレット
  • しだれ梅と椿,城南宮,2021年

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