地元久留米の園芸家Aさんのご案内で観音寺ハルサザンカ(原木)を見にゆきました。境内の中央に堂々と立つ古木が観音寺ハルサザンカの原木でした。2月後半の花盛りの時期、花は濃く明るい桃紅色で、濃緑の葉の中に明るく灯る灯りのように咲いていました。
観音寺について
石垣山観音寺は白鳳二年(673)に天武天皇の勅願寺として、国家鎮護・皇室繁栄などを祈願して創建された古刹です。寺伝による行基により七堂伽藍(しちどうがらん)が造営され、往時は境内地が24000坪あったと伝えられています。
ご本尊は十一面観世音菩薩を内蔵する聖観世音菩薩、九州西国霊場第19番・筑後国第3番の札所で、現在も信仰盛んな寺院です。
観音寺ハルサザンカ原木の様子
境内に入ると中央真正面にこんもりと繁る古木が立っており、これが観音寺ハルサザンカの原木でした。訪問したのは2月後半の花盛りの時期ですが、今年は少し開花が遅いようです。花は濃い桃紅色の花弁が9〜10枚つく一重、小輪。黄色の雄しべは数が多く、梅蕊状に開く様子が見られます。
以前は木のすぐ近くまで車を入れていたので根が痛んで樹勢が弱まったそうです。幹の中央あたりにも傷みが見られ、合着した幹の真ん中のものはひどく弱っているようでした。
そこで木の周りに柵を巡らせて根の保護に努めるようになったそうです。Aさんは古木の手入れのアドバイスもなさっていて、お寺の奥様がいろいろ尋ねていて、頼りにされているのが分かりました。
手当の甲斐あってか樹勢は持ち直したそうで、ひこばえも数多く生えていました。
せっかくなので許可を得てAさんと一緒に木を実測してみました。幹の太さは地際で194cm、地上110センチで180cm、そこから5本に分かれています。
お寺の奥様のお話によると「満開の時、濃いピンク色でぽーっと明るくて、ぼんぼりが灯っているようなんです。遠くからでもよく見えるんですよ」とのことでした。
開花期の2月第3日曜日には「さざんか祭」が行われ、花が満開の時期には多くの人々が訪れるそうです。
案内板によると、推定350年、寺名に因んで『観音寺』と名づけられたハルサザンカの原木で、ヤブツバキとサザンカの雑種に更にヤブツバキが戻し交離した三倍体ハルサザンカの一品種。1990年に久留米市指定の天然記念物に指定されました。

<訪問日:2025年2月25日 晴天>
データベース
【名称】観音寺ハルサザンカ(原木)
【品種】ハルサザンカ
【大きさ・形状】樹高:約8m、幹周り:1.6m、m、m、cm、枝張り:m
【樹齢】推定樹齢350年
【花、葉】花色:桃紅色、花形:一重、始め抱え咲で咲き進むと平開、花径:6〜7cm 小輪、葉:長楕円形、中型、厚葉。
【花期】12〜3月
【所在】〒839-1212 福岡県久留米市田主丸町石垣275
【備考】
・久留米市指定の天然記念物(1990年5月11日指定)
・境内はいつでも入れる。
・問合せ:0943(72)3490
【公式サイト】http://ishikakizan-kannonji.jp/rekishi
アクセス
・JR田主丸駅より徒歩30分、タクシーで約10分
・西鉄バス 田主丸中央バス停下車、タクシーで約10分
参考文献
・現地案内板
・新選サザンカ名鑑,箱田直紀,日本ツバキ協会,2021.10.15
・石垣山観音寺公式サイト:http://ishikakizan-kannonji.jp/rekishi