毎年3月に松江城の入り口、馬溜広場を会場に開催されている椿展。主催は山陰地方のつばき愛好家が集まる山陰カメリアンクラブです。椿の会であるコーベ・カメリア・ソサエティのツアーで2018年3月に第49回椿展を訪問しました。
鉢植えと切り花が展示された椿の品種は百種類以上あるでしょうか。黄泉の銀華、一子侘助、四ヶ村、婆の木、大山白、白髪山、大社紫などが並びます。関東在住の私は普段あまり目にしない品種も多いので見入ってしまいます。
山陰カメリアンクラブ代表幹事のO氏が私たちのために島根の椿の話をしてくださいました。
一つは「大山白(だいさんはく)」について。原木は布部ダム近くにあり樹齢400年、樹高12~13m、樹冠の径も同じくらい。山間部にあるため、幹や枝が雪で押されてうねるようとのこと。純白の花は中輪で、開花は早く12月初め頃。地元では川奥の椿と呼ばれます。この椿を原木する園芸品種が、島根生まれでありながらなぜ鳥取県の山に因む名なのか不思議でしたが、命名者の二人が鳥取の方であったためとのことでした。この椿の端正な白い美しさを、伯耆富士として名高い大山の峰に白く輝く雪のごとしと称えての命名であったのでしょうが、地元の方には複雑な思いがあるかもしれません。
いま一つ、「花仙山(かせんざん)」については地元の命名が登録名となりました。「原木は樹齢350年、玉作温泉の真後ろにあって今を盛りと花が咲いているはずです」xそうです。この花仙山からは、10月に早々と咲く白花仙など、実生品種が9種類誕生したとのことでした。「山陰の椿の品種には葯が退化した品種が多く、その中で最初に世に出たのが天倫寺月光で、2番目が黄泉の銀花です。花弁は20枚になるものも出たことがあります」とお話は尽きません。
椿展では会の方々が見学者に品種の説明をしたり、椿の育て方の相談に応じたりしている様子が見受けられ、皆様が松江の椿を誇らしく思っていることが伝わってきます。最後に記念写真を撮り、お土産に山陰カメリアンクラブから会報誌『つばき』第41号を頂き、わずかな時間でしたが貴重な親睦となりました。
松江城山公園のヤブツバキ群
今回は時間がなくて訪問できませんでしたが、城山公園西側の椿谷と鎮守の森一帯にはヤブツバ群落が広がり、日本3大ヤブ椿群と呼ばれているそうです。3月上旬~4月中旬には花の時期を迎え、椿まつりの後日には、山陰カメリアンクラブのガイドで、樹齢300年以上の古木や名椿、ヤブツバキの群生地、園芸品種の椿を探訪するイベントも行われるとのこと。
椿谷へ行くには松江城正面にあたる大手前から本丸を右手に見ながら西側へ、外から入るなら島根県庁から千鳥橋を渡ります。
また北惣門橋のたもとにある松江歴史館でも3月にはさまざまな椿の植木を展示した椿展示会が行われ、無料で鑑賞できるようです。
<訪問日:2018年3月11日晴天>
データベース
【名称】松江城山公園 椿谷と鎮守の森
【コレクション】 約4200本のヤブツバキの群落、直径10㎝以上のヤブツバキが約400本
【花期】 3月上旬~4月中旬
【所在】〒690-0887 島根県松江市殿町1−5
【備考】
・入園料無料、年中無休
・問合せ:0852-21-4030(松江城山公園管理事務所)
アクセス
- JR松江駅からバス10分、県庁前下車徒歩5分
- JR松江駅からレイクラインバス10分、松江城(大手前)下車
- 一畑電車松江しんじ湖温泉駅から市営バス(北循環線内回り)5分、県庁前下車徒歩5分
- 松江バスロケーションシステム・ぐるっとバスナビ