【椿の名所】明星院天井画の椿絵

【椿の名所】明星院天井画の椿絵

長崎県五島市の明星院は空海が唐からの帰路に立ち寄った際に命名したとされる古刹です。藩主五島家代々の祈願寺であることから規模は小さいながらも内部は荘厳で、格天井には花鳥画が施され、その中には椿絵があります。

明星院について

明星院寺伝によると、大同元年(806年)弘法大使空海が唐からの帰路この寺に立ち寄り、翌朝、明け方の空に輝く明けの明星を瑞兆と思い、明星院と名付けたといいます。以来、五島における真言宗の総本山であり、藩主五島家代々の祈願寺でした。本尊は虚空蔵菩薩です。

現在の本堂は棟札によると、安永7年(1778)に第28代主五島盛運が火災で消失した本堂を再建したもの。檜の柱20本を使用した五島最古の木造建築物です。屋根の本瓦葺は1970年に銅板葺に改められました。長押の華髪は旗本富江領初代藩主の五島盛清が寄進したものです。

本堂全体・天井絵・主要な仏具仏器は長崎県有形文化財指定(1981年:昭和56)

天井絵の椿

明星院本堂の格天井の格間(ごうま:1つ1つの区分のこと)には鳥や植物の花鳥画が描かれており、その一つが椿絵です。

全部で121枚あるという極彩色の花鳥画は安永7年(1778)に、五島藩の絵師、狩野派の大坪玄能によって描かれたものです。

格間は無垢板のようで、その一つ一つの画面を丸く切りとった中に花鳥画が描かれています。

椿絵は入り口から4番目の中央、天蓋の付近にあります。絵の具は褪色していますが、鳥の羽や葉を描いた緑青や花を描いた辰砂らしき赤色は比較的残っています。

椿は薮椿のようで、赤い花が4輪と蕾がいくつか。枝は画面右から上と左下の二方向に伸び、下方向に伸びた枝には鳥が一羽止まっています。鳥はハトのようですが品種はわかりません。緑の羽と赤い嘴というカラーリングが琉球列島に生息する国の天然記念物のキンバトに似ています。

 

 

<訪問日:2025年2月21日 晴>

 

データベース

【名称】宝珠山吉祥寺明星院天井画の椿絵

【所在】〒853-0042 長崎県五島市吉田町1905

【備考】問合せ:0959-72-2218

 

アクセス

・五島市内よりバス富江・小泊線富江行で約10分、明星院下車、徒歩10分

・五島市内よりタクシー約10分

 

参考文献

・明星院の県指定有形文化財開設版

・パンフレット

・長崎県公式サイト長崎県御文化財:https://www.pref.nagasaki.jp/bunkadb/index.php/view/423

・NPO法人アクロス五島:https://goto-acros.net/fudasyo/fukue/no1.html

・鳥630図鑑、財団法人日本野鳥保護連盟、1988

 

 

他の椿旅を見る(【椿の名所】椿旅リストへ)→

椿旅カテゴリの最新記事