都立大島高校椿園

椿をコレクションした椿園は世界中にありますが、高校生が運営管理している椿園は世界中でただ一つ、東京都の伊豆大島にある都立大島高校椿園だけでしょう。

高校生の、高校生による、高校生のための椿園

都立大島高校は1944年に開校した大島農林学校が前身で、今の学校名になったのは1951年。大島を一周する都道208号大島循環線沿いの岡田と元町の中間にあります。その都立大島高校の敷地内に椿園はあります。もともと農林科の演習のためのものです。

高校では、特徴を生かした地域貢献や研究・観察など、学習の場としてのツバキ見本園を作ろうという趣旨で、1972年(和52)、ミスト室(挿し木繁殖室)が建てられたのを機にツバキ園の造成を始めました。
1977年(昭和57)に都立大島公園から75品種の差し穂を分けてもらい、育苗、これを基に毎年数樹品種を購入して挿し木や接ぎ木で増殖し育苗もしました。またツバキ園造成と共に東京都立青梅雄号高等学校の協力を得て新しい樹木板を製作し、2009年(平成21)に完成したそうです。

現在、椿の植栽は、主園の椿園のほかに、洋種椿園、変り葉・伊豆大島産椿園 の 3 区画からなり、その特徴にあった管理がなされています。 約350種類、1,000本以上の園芸品種や原種を保有し、教材として生徒の栽培管理実習に活用されています。

大島高校椿園Map~椿の楽園 伊豆大島椿ガイドより~
大島高校椿園Map~椿の楽園 伊豆大島椿ガイドより~
都立大島高校椿園20170714
都立大島高校椿園20170714

椿園の日にはそれぞれ通常の樹名板とともに、QRコードが付けられています。これは生徒の考案によるもので、樹名板のQR コードにアク セスすると、このような開花時期以外でも花の写真を見られるようになっています。

けれど生徒たちと椿の関わりは単なる学習にとどまるものではありません。

もともと伊豆大島は椿が多く自生する椿の島として知られた島です。特に昭和の時代には島の火山である三原山の登山に多くの観光客が来島し、春には大島桜と椿の花を愛で、土産物には椿油を買って帰りました。昭和のヒットソング、都はるみの「あんこ椿は恋の花」も大島をモチーフにした歌謡曲です。

椿は花を愛でるだけでなく椿油や椿炭などの生産物があります。このように椿が生活に根付いた風土の中で育った彼らは、椿を地域資源として地域おこしにも取り組んもいます。収穫した実で椿油を製造したりし、そうした活動によって数々のアワードや選手権で受賞しています。

その活動のひとつとして、国際ツバキ協会(International Camellia Society)による、国際優秀ツバキ園(International Camellia Gardens of Excellence)認定への取り組みがありました。認定基準をクリアできるよう英語の品種名の名札をつけたり資料を提出したりして、2016年の国際ツバキ会議中国大理大会において自らプレゼンテーションの末、見事に認定されました。

そうした彼らの椿への情熱は、自分たちの手で行う椿園ガイドツアーでも垣間見ることができます。

太郎庵Taroan 大島高校20171202
太郎庵Taroan 大島高校20171202

椿ガイドツアー

毎年2月の椿の咲く頃、伊豆大島椿まつりに合わせて大島高校農林科椿園は一般公開されます。生徒たちはロゴの入った揃いの赤いウインドブレーカーを着て、自分たちの椿園のガイドツアーをします。多くは地元の伊豆大島の住人ですが、島外からの見学者もいます。私も彼らのガイドを楽しみに大島を訪れる一人です。彼らはそれぞれ自分のお気に入りの椿を持っていて、品種について説明しながら、自分たちのお気に入りの椿への愛情を語ります。初々しい熱意は大人たちを暖かく楽しい気持ちにしてくれます。

他にない稀有な存在意義を持つ椿園は、これからも高校生パワーによって運営されることでしょう。

高校敷地内にある椿園は、伊豆大島の椿まつりシーズンに一般開放されますが、その他の時期でも学校に断りを入れれば見せてもらうことができます。教育機関なので配慮はしなければなりませんが、開かれた学校の椿園はありがたいことです。

ここで見られる椿

<10月~12月>

<1月~4月>

ここのハルサザンカ 「笑顔紅」 は 日本でも有数の大きさといいます。

データベース

【名称】東京都立大島高校農林科椿園
【花期】10月〜4月
【所在】〒100-0101 東京都大島町元町字八重の水127
【備考】毎年2月開催される伊豆大島椿まつりに合わせて一般公開
・問合先:事務室/ 04992-2-1431
・オフィシャルサイト: http://www.osima-h.metro.tokyo.jp/
【アクセス】東京竹芝港より高速船で大島(岡田港もしくは元町港)へ、港から東海汽船バスもしくはタクシー。

大島高校20171202
大島高校20171202

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参考文献

  • 東京都立大島高校農林科椿園の紹介:http://www.osima-h.metro.tokyo.jp/zen/nourin/tsubakien.html
  • 大島高校農林科のホームページ:http://www.osima-h.metro.tokyo.jp/zen/nourin/toppage.html
  • (椿園入口)