UNPEL GALLERY(アンペル・ギャラリー)椿アートコレクション

UNPEL GALLERY(アンペル・ギャラリー)椿アートコレクション

椿絵の一大コレクションで知られる、あいおいニッセイ同和損保が、八重洲に「UNPEL GALLERY」を開設しました。オープン記念展として椿の美術コレクションを展示。椿の作品を数多くみる事のできるまたとない機会です。

椿、咲く。-初々しさを秘めた成熟に向けて
<前期:椿絵名品展-蕾から大輪の花へ>2020年12月

2020年12月16日(水)〜12月25日(金)

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オープン記念は「椿、咲く。 -初々しさを秘めた成熟に向けて」 。前期(2020年12月16日(水)~12月25日(金))は椿絵名品展-蕾から大輪の花へと題して所蔵のコレクションから2021年のカレンダーの作品を中心に展示されています。

展示室は一室と小規模ながら、そこにある椿の絵画はどれも逸品ばかりです

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入室してすぐ右手にあるのは、安田靫彦(やすだゆきひこ)の紅白の椿。素朴ながら鮮やかな色と輪郭の花が目を引き付けます。隣にならんだ前田青邨(まえだせいそん)の「椿」は、鮮やかな瑠璃色の花瓶にたっぷりと八重、千重咲きの椿が活けられています。ほんのりと画面に当たった照明によって椿の花々は浮き立ち、まるで一抱えの花束のようにです。

壁に掛けられいるのは、小倉遊亀(おぐらゆき)や堀文子など、何点もの美しい椿の花の絵を描いている画家をはじめとした著名の画家たち。それぞれに個性的で味わい深い椿の花々です。

高山辰雄の「椿」は朱色の布か紙の上に置かれた四角く平たい緑の水盤の中に白椿が3輪、その色の対比の鮮やかさが心に沁みます。

山口蓬春(やまぐち ほうしゅん)の椿は「都波喜」と字を当てた題で、豪華な獅子咲きの赤い花と緑青の葉の鮮やかな対比にハッとさせられます。

福田平八郎の「八重椿」は百地に赤い絞りが入った唐子咲きで、複雑な花弁を白線で描いているのが繊細な雰囲気を伝えてくれます。

「春の籠」と題された堀文子の作品は彼女が特に好んだという太神楽をはじめ、さまざまな品種の椿が描き分けられて籠いっぱに溢れた美しい絵で、私も大好きです。

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ギャラリーの正面はガラスで仕切られた展示ケースで、掛け軸に表装された作品が並んでいます。その中でも大観の白椿の掛軸は、白絵の具と墨で描かれた小さめな作品ですが、とても心惹かれ、いつまでも見ていたくなります。

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落ち着いた雰囲気の照明の中、作品の一つ一つをじっくり見られるの至福のひと時でした。

オープン記念展、後期は琳派の花-近世から近代へ。会期は2021年1月8日(金)~1月24日(日)です。

<後期:琳派の花-近世から近代へ>2021年1月

2021年1月8日(金)〜1月24日(日)

後期は琳派の作品など。古典の名品が展示されました。桃山時代には椿を吉祥画のモチーフとして用いることが定着していたとされるされ、琳派の芸術家たちは陶器や蒔絵にしばしば椿を用いた、と解説にあります。

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中でも尾形光琳「椿図蒔絵硯箱」からは目が離せません。実物をこんな近くで見られるなんて。

独特のドーム型は本阿弥光悦の「舟橋蒔絵硯箱」の形を模したもの。蓋であるドームの上面には、白椿と鉛の黒い葉、手前は金の土坡、背景の朱漆。2輪の白椿は螺鈿で、肉厚な回がはめ込まれていて、貝はほの明るい光を放って美しい。デザイン性の高い意匠です。

同じ椿図の団扇絵の椿も単純化した椿の図案です。

展示作品は他に、狩野山楽「椿梅図」の二曲一隻の金屏風、尾形韓山「色絵椿文輪花向付」など。

公式サイトには、後輪が絵画、蒔絵において、弟乾山の陶器にしばしば椿もモチーフを用いたことに、「彼らの活躍した元禄年間(1688-1703)頃に椿の流行が開塾期となった事が背景にあった」と開設されています。

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椿コレクションについて

アンペル・ギャラリーは何故これほど椿の作品があるのか。

それはギャラリーを運営するあいおいニッセイ同和損保の前身のうちの一社、大東京火災の創業者である反町茂作氏が椿を好み、社業もこの常緑樹のように
若々しく力強くありたいと願ったためといいます。椿のコレクションは、桃山から近現代まで幅広い年代の絵画、工芸品であり、全国の美術館へ無償で貸し出されてきました。(公式サイトより)

こうした活動によって、日本の各地で多くに人々が椿の美しさ、魅力に触れる機会を作ってきてくれました。

<訪問日:2020/12/22,2021/1/21>

「椿絵」コレクション名品選  -逆境をのり越える-2021年

新型コロナ禍最中の2021年12月のコレクション展のテーマは、これまで私たちが経験してきた戦争や自然災害といった危機を克服してきた先人の芸術家に思いを馳せるものとなりました。

戦国時代を生き抜いて絢爛豪華な絵画世界を生み出した狩野山楽の屏風絵、大病を患いながら舞作を残した夏目漱石や村上華岳、第二次堺大戦から生還した香月泰男。

作家たちの人生や時代に思いを馳せながら作品を見たいものです。

<訪問日:2021/12/9>

「椿絵」コレクション -ひかり輝く明日へ-

今回のテーマは「ひかり輝く明日へ」。コロナ禍続く今への願いを感じます。
選ばれた作品は背景に金箔や金地をあしらった作品が多く、浮かび上がる椿の花のひとつひとつが美しく輝いています。

PartⅠ: 2022 年 12 月 3 日(土)~12 月 25日(日)

 

PartⅡ : 2023 年 1 月 10 日(火)~ 1 月 29 日(日)

データベース

【名称】UNPEL GALLERY(アンペルギャラリー)
【コレクション】 “椿”をテーマとした絵画・工芸品を中心に約300点の美術コレクションを保有
【所在】〒103-0027 東京都中央区日本橋3-1-6 あいおいニッセイ同和損保八重洲ビル1F
【備考】
・TEL:03-3548-7780
・入館料:無料
・開廊時間:11:00~19:00 休廊日:月曜日・年末年始
【公式サイト】https://unpel.gallery/

 

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