「誰も見たことのない美しい椿の花を咲かせたい」という椿好きの心は、これまで多くの 新花を生み出してきました。花を以て人を唸らせ、喜ばせる育種家の一人、矢野芳春氏の「やのツバキ」はオーナーの夢が詰まった宝箱でした。
山口県の椿の生産者「やのツバキ」は夢の宝箱
椿の園芸品種は数千種類あるといわれ、江戸時代からの人気品種もあれば、つい最近誕生した品種もあります。ツバキの普及と椿文化の継承発展を目的とする一般社団法人日本ツバキ協会では、椿の新花の育成を推奨し、品種登録制度(日本で育成されたツバキ・サザンカ及び近縁のツバキ類園芸品種の名称を整理、新品種名称の登録を行う制度)に基づき、毎年優れた新品種が誕生し登録・発表に至っています。
山口県光市にある「やのツバキ」の矢野芳春氏は、これまで多くの品種を開発しており、その中の17種類は日本ツバキ協会の登録品種として認定されています。さらに新花開発に功績のあった育種家に贈られる「椿の達人」(新花を登録認定者)と「椿の聖人」(個人で10種類の登録認定者)の称号を受けています。毎年、全国椿サミットに合わせて行われる登録新花の発表の常連でもあり、2023年萩サミットでは一般来場者による人気投票で「星の光」(2022年登録新花)が優勝しました。
やのツバキを訪問
2023年山口県萩市で行われた全国椿サミット萩大会の後、矢野さん自身のご案内で「やのツバキ」訪問することができました。自宅から300メートルの山間に車で登り、着いたのは鉄骨とガラスで出来た立派な温室でした。
「やのツバキ」は椿を専門に育種・生産する生産者です。特徴は大量販売されていない品種が多数あることと、これまで矢野さんが開発した独自の品種も手に入ることです。
中に入ると、細い通路以外の場所にびっしりと苗木や鉢植えが並んでいます。こんなにあってどこに何があるのかわかるのだろうかと思いますが、同行者が希望する鉢植えを次々と選び出していました。少量多品種で揃えてあるそうです。
温室の他にパイプハウスもあり、販売できる苗木を並べてあるほか、挿し穂の鉢上げ作業が行われていました。奥には路地植えの木もあり、間口からは想像のつかない広さです。
ガラス温室では黄色系の椿がとくに目を引きました。ハイドゥンや、金花茶、新世紀、亜紀、金星、黄の御前、うらら、黄金錦など、他にも実生の花なども見られます。知らない品種やまだ実物を見たことのない花などがあるのでキョロキョロしてしまいます。
その一部がホームページでも紹介されています。中には矢野さんが作出した新花の椿も載っています。
やのツバキH P:http://www.kvision.ne.jp/~kvn2003491/
ここで見られた椿
この日に見てきた椿の花を以下に紹介します。
<訪問日:2023年3月20日(月)晴天>
データベース
【名称】やのツバキ
【所在】山口県光市大字束荷1848-1
【備考】
・問合せ:e-mail: yamakenyano@yahoo.co.jp
参考
- やのツバキ公式サイト:http://www.kvision.ne.jp/~kvn2003491/
- 日本ツバキ協会登録新花写真集第1巻―つばきの新花と達人たちー,日本ツバキ協会,2021