松皮菱と椿の意匠の木彫飾り(鳥取民藝美術館)
鳥取民藝美術館の壁に飾られていた、椿の木の木彫飾りです。
正目の材に椿の木が透かし彫りにされています。木は構図の中央に太い幹を立て、そこから力強く枝葉を四方に伸ばし、花を3輪咲かせ、蕾も見られます。松皮菱(まつかわびし)の中がくり抜かれた中影松皮菱(ちゅういんまつかわびし)のような形に枠取られたような意匠です。
松皮菱は松の樹皮を菱形にデザイン化した日本の模様で、常緑である松は永遠の若さの象徴であることから、松皮菱文は吉祥模様として中世以降に着物のデザインに好まれました。椿も古代から長寿繁栄を示す吉祥なのでおめでたさが重なった様な意匠です。
関係があるかはわかりませんが、松皮菱と椿の組み合わせは、長崎県新上五島町にある中ノ浦教会の内装に描かれた椿の花も松皮菱と組み合わされています。
鳥取と民藝
鳥取は昭和のはじめ新作民藝運動が盛んな土地でした。その原動力と言えるのは吉田璋也の存在です。民藝といえば柳宗悦が有名ですが、明治に鳥取市生まれた吉田璋也は、1931年(昭和6年)耳鼻咽喉科医院を開業するかたわら新作民藝運動を興します。民藝のプロデューサーを自認し、陶芸、木工・家具・染織・竹工・漆工・金工・石工・和紙・建築などの多岐にわたる工人を指導し、土地の材料で伝統的な技法により現代の生活に沿った暮らしの工芸を次々と生み出して、鳥取の民藝の礎を築きました。
吉田璋也は「実用品の中にこそ真の美しさが表現される」と言っています。
<訪問日:2024年3月12日 晴天>
データベース
【名称】鳥取民藝美術館
【所在】〒680-0831 鳥取県鳥取市栄町651
【備考】
・開館時間:0:00~17:00、入館料:大人500円
・休館日:毎週水曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、その他展示替え等で臨時休館あり
・問合せ:TEL 0857-21-3504
【公式サイト】https://www.tottori-mingei.jp/index.html
アクセス
・JR鳥取駅北口、地下道で横断し徒歩3分の民芸館通り沿い
参考文献
・鳥取民藝美術館公式サイト:https://www.tottori-mingei.jp/index.html
・聖パウロ女子修道会(女子パウロ会)公式サイト ラウダーテ:https://www.pauline.or.jp/visitingchurches/201306_nakanoshima.php