立伏(りゅうぶく)の椿

なかなか行くことのない栃木県に車でゆくことになり、せっかくなので、途中でどこか立ち寄れる椿はないかしら、と思って見つけたのが、この立伏の椿でした。立伏と書いて「りゅうぶく」と読ませるのはこのあたりの地名で、栃木県御難読地名にもリストアップされています。

県道から竹や雑木がこんもりと茂るあたりを目指して 田んぼの畦道をゆくと、「立伏のツバキ」と彫られた立派な石碑が立っています。
そこからさらに畑の横を通りぬけて薮に入ると、うっそうと茂った雑木にさらに道が伸びています。蜘蛛の巣や藪蚊と闘いながら進むと、竹藪に埋もれるようにして一本の老椿がありました。

主幹は南側の田んぼに面した側に大きく傾きながら枝を伸ばしており、 木はその傾きに耐えられないのか支えを与えられています。地上1m位の高さで分かれて伸びる大きな枝は、まるで傾いて伸びる主幹のバランスを取るかのように逆方向にねじれて伸びているようです。

宇都宮市のサイトには、この椿が立伏の斎藤家の屋敷跡にある濃赤色一重のヤブツバキで、南側の水田に面している部分のみが開けているため、枝は主として南側に向かい張り出している、と解説がありました。

実際そのとおりの樹形ですが、この偏った樹形のために、木の南側にかかる荷重は大変なものなのでしょう。樹皮はたるみのような深いしわが幾重にも入っています。根元も腐り、 大きな虚ができ、パテで補修したような跡も見られます。逆に反対側に伸びる太い枝は、倒れまいと空をつかむ手のように枝を伸ばしています。

側にある案内板には、
推定年齢約450年 。樹高8m 、胸高周囲2m、。枝張り、東西8m・南北10.4m 。 濃赤色一重のヤブツバキ 。栃木県指定天然記念物( 昭和47年1月21日 指定)
とあります。 (栃木県教育委員会・河内町教育委員会)

最近は手入れがされていないようで辺りは荒れていますし、椿自体もかなり傷んでいるように見受けられます。
それでも立伏の椿は、林の中で圧倒的な存在感があり、ありし日の風格を十分感じさせてくれました。ごつごつ隆起した樹皮のこぶも、南側に枝を伸ばした独特の樹形も魅力的に映ります。

宇都宮の歴史と文化財のページの立伏の椿を紹介したページには、いつの頃かはわかりませんが、かつての姿の写真が載っています。周囲は今よりずっと開かれていて、椿も枝を広げて立つ姿は健やかそうです。
こうした姿をいつかまたみられることがあれば嬉しいと思います。

最後に補足ですが、 立伏の椿周辺は地番表示や明確なランドマークに乏しい場所のため、辿り着くのに苦労しました。
「宇都宮グリーンタウン行バスの立伏で下車徒歩10分」 というところまではわかったので、とりあえず行って近くで探してみよう、という見切り発進で出かけたのですが、付近を栗まで走って探しても見つかりません。結局、問い合わせ先として書かれていた宇都宮市観光交流課 (028-632-2437 ) に電話をして教えていただきました。 かなりしつこく食い下がって 「2軒ほど家のある場所から 畦道を行った先」 「こんもり茂った森の方」「竹薮の中」という説明のおかげで何とか辿り着くことができました。担当の女性はとても親切に根気強くお付き合いくださいました。ありがとうございました。

<訪問日:2019/7/18(金)曇天>

データベース

【名称】立伏(りゅうぶく) のツバキ
【花期】 4月中旬~5月上旬
【所在】 栃木県宇都宮市立伏365
【備考】
見学は自由ですか個人の所有地にあり、また途中も田んぼの畦道を通るため礼儀と配慮をもって見学させていただくことが必要です。また舗装された場所ではないのでそれなりの靴と、季節によっては藪蚊などの虫対策も必要です 。

アクセス

電車の場合
JR宇都宮駅から関東バス宇都宮グリーンタウン行、立伏下車徒歩10分

宇都宮ICを降り、国道293号の上横倉町信号機を東方向に右折、立伏グリーンタウン を目指し、その手前で左手に民家がある場所の右手、田んぼの中のやや小高い雑木と藪の茂みの中にあり。

周辺地図 Googleマップにマーキングして作成
民家とその前の畦道があるあたり
民家の向かい側の田んぼに伸びる畦道を臆せず進む!

参考