江戸時代の大名茶人として有名な不昧公こと松平治郷(春里)のご城下松江は茶道が盛んな土地として知られますが、椿とも縁が深い場所。椿サミット松江大会ではそんなご当地らしい椿をモチーフにした多彩な茶菓を楽しみ、松江城内の椿谷などを巡りました。
松江と椿
松江城内の西側にある椿谷は、赤いヤブツバキだけではなく、白や桃色、紫に近い暗赤色の花が咲きます。これらは茶の湯に不可欠な花である椿を参勤交代の折などに江戸や京都などから持ち帰ったことから生まれたものと伝わります。松江をはじめとして島根県には、古くからご当地椿の品種が数多くみられます。椿の園芸文化は山陰カメリアンクラブの活動や毎年松江城で行われる椿展など現在も健在です。
第34全国椿サミット松江大会概要
テーマ:神話の息づく地で椿の可能性を見つける2日間
日時:2024年3月19(土)、10日(日)
場所:松江テルサ(松江勤労総合福祉センター)
オープニング:アートパフォーマンス(Storyteller in Art)、XUXU(シュシュ)ライブ
基調講演:樹木に宿る精霊たちー小泉八雲と椿をめぐってー 小泉八雲記念館 小泉凡館長
パネルディスカッション:椿を通した持続可能な地域振興
他に会場では新花人気投票コンテスト(日本ツバキ協会)、日本ツバキ協会支部懇談会、総会、全国椿サミット協議会も開催。
展示・物販・体験:
屋外と会場の各場所で展示や物販、体験イベントなどが開催されました。
屋外では山陰カメリアンクラブの会員が育てた椿の鉢植えが展示され同時に即売会も実施。
会場の松江テルサでは1階と4階の各所で展示・物販・体験が行われていました。
市民作品の展示は、絵手紙、書、水墨画、折り紙や吊るし飾りなどのクラフトワークなど様々。中でも翌日ゆく予定の上意東地区のおちらと村の展示は多彩で目を惹きます。地域の老若男女が思い思い自由に作品を作っているとのこと。元気な地域なのだと感じます。
エレベーターを4階で降りた正面は絵手紙コーナーで、満開の椿の花の絵が迎えてくれます。作品はハガキ大の絵手からポスター大の大きなもの、絵を貼った文箱や行燈様の明かりなど、絵手紙の枠にとらわれない、自由で明るい作品が並んでいました。
1階では椿をテーマにした工芸品の展示販売が華やかです。中でも松江和菓子協会の各店は、椿サミットに合わせて椿をモチーフにした特製菓子を提供しています。福田屋の紅白「寒椿」、桂月堂「夫婦椿」、彩雲堂「姫椿」、風流堂「可憐椿」、三英堂「四ケ村」、一力堂「紅白黒椿」、松江クロードではクッキーを黄色とピンクの2色の缶に詰め合わせした「松江つばき」と、7店舗が11種類の椿の菓子を並べていました。
工夫を凝らした椿の菓子は、どれも美しく美味しそうで、全てを味わいたい誘惑に駆られます。横に設けられたお茶席で選んだお菓子を味わうこともできます。茶道が盛んな松江はもちろん茶菓も豊かな場所、さすが松江の椿サミットです。仕事の合間にほっと一息、椿サミットを味わうことができました。
会場には島根ゆかりの品種が飾られていました。
交流会
大会後の交流会は宍道湖を望むホテル一畑にて、地元のホーライエッチャ、関の五本松節などが披露され、終始賑やかです。次回第35回全国椿サミット(2025年2月22日、23日)の開催地である長崎県五島市長の挨拶にて幕を閉じました。
参加者は開催地松江のから椿の苗木、ご当地の名産品、協賛企業による提供品などのお土産をいただきました。
現地視察
3月10日(土)の視察は、①国宝松江城〜椿谷コース ②堀川遊覧船〜椿谷コースの2つのコースが用意されて参加者はどちらかを選びます。私は国宝松江城と椿谷を巡りました。
国宝松江城と椿谷
松江城の西側から北側に広がる椿谷は、約400本のヤブ椿の群落があり、日本3大ヤブ椿群の一つとされています。江戸時代に松江城周辺に植えられたと言われます。以前2020年に松江城に来た時は時間がなくて行けなかった椿谷、今回は山陰カメリアンクラブ会長のご案内で見学しました。花の時期にはまだ早いのかあまり椿の花は見られませんでしたが、念願の椿谷に行かれたのは嬉しいことでした。西側に残る土塁は木々が根を張り土塁を守っていますが、中には椿の古木も見られました。
島根の椿探訪
椿サミット終了後に椿友の案内で島根の椿を訪ねて回りました。
松江市上意東地区のおちらと村と金正寺五色八重椿などの古木椿です。
→【椿の名所】金正寺五色八重散椿と上意東地区の古木椿、おちらと村の記事へ
合間に松江の街中で椿マンホールを見つけました。
せっかく松江に来たのですから、八重垣神社の連理玉椿にも行きました。2018年以来6年ぶりです。前回同様開花は見られませんでしたが、古木が健在な姿を確認できて何よりです。
<訪問日:2024年3月19(土)、10日(日)晴れ>
参考文献
・第34全国椿サミット松江大会パンフレット
・しまね観光ナビ:https://www.kankou-shimane.com/destination/21382
・最新日本のツバキ図鑑,日本ツバキ協会編,誠文堂新光社,2010
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