白侘助(しろわびすけ)

白侘助

Camellia ‘Shiro-wabisuke’

花は白の一重、極小輪(4~5cm)。花弁は5弁で円形、弁端は凹頭。猪口咲き、『現代椿集』にはラッパ咲き、花は初めは筒状であるが満開時には浅皿状に開くと詳しく載る。雄しべの葯が退化・変形して花粉がなく、白っぽく見える。花高の半分くらいの茶筅しべ、花糸の長さは4mmで淡黄色。雌しべは雄しべより長く突出して3頭裂し、花柱の基部には白い絹状毛があり子房に微毛があることから他種との交雑種とされる。11〜3月頃咲く早咲き。

葉は楕円形、中型、緑色もしくは濃緑色、日照が強い場所や肥料不足だと淡緑色になる。葉脈は細かく、陥没していて、鋸歯は細かい。

樹形は立性だが、横張にもなりやすい。樹勢はやや弱いが、幼樹が高さ60cmになると生育がよくなる。(『現代椿集』1972)

白侘助
白侘助

江戸時代からある品種で、伊藤『椿花集』に「白侘助」とあります。

『最新 日本ツバキ図鑑』(2010)には『諸色花形帖』(1789年、江戸中期)に「白侘助」の名で登場するのが最初のようであるとあります。『諸色花形帖』では「早咲 白佗助 極小チョク咲 上々見事ナリ」と記載されます(色分け花図鑑 椿)。

11月の声を聞く頃から咲き始める白い小さなツバキ。ひっそりとした佇まいに近づく冬を感じます。早咲きで花付きが良く、冬の間も花を咲かせ続けてくれます。茶花として人気が高い理由もそういったことにあるのかもしれません。

白侘助は「ワビスケ」の名の通り、雄しべの葯(やく)が退化して変形したワビスケ形が特徴です。葯が退化して花粉ができないので当然種子はできません
白侘助をはじめ、「ワビスケ」の名で呼ばれるツバキには見た目は似ていても、系統が異なる2つのタイプがあることが分かっています。一つは太郎冠者(別名、有楽椿)の実生やその後代のもののうち雄しべの葯が退化して白っぽく変形したもので「ワビスケツバキ」と呼ばれるグループ。もう一つは太郎冠者の系列ではなく突然変異でヤブツバキやユキツバキの中から生まれた雄しべの葯が退化、変形したもので「ワビ芯ツバキ」と呼ばれるグループ。白侘助は前者の「ワビスケツバキ」です

まれに花弁に紅色の小絞りが入ったり、ワビスケには珍しく枝変わりの花が咲くと『色分け花図鑑 椿』にあります。私はまだ見たことがないので、この白侘助があるとつい一つ一つの花をじっと見て、赤色のある花がないか探してしまうのです。

<引用・参考文献>
・最新 日本ツバキ図鑑,日本ツバキ協会,成文堂新光社,2010
・色分け花図鑑 椿,桐野秋豊,学研,2005
・現代椿集,日本ツバキ協会,講談社,1972

<撮影場所>
・東京都港区