国際ツバキ会議ナント大会2018(International Camellia Congress Nantes France 2018

国際ツバキ会議ナント大会2018(<strong>International Camellia Congress Nantes France 2018</strong>)

International Camellia Congress Nantes France 2018

ツバキの国際的な愛好家の団体である国際ツバキ協会(International Camellia Socety=ICS)は、隔年で国際ツバキ会議を開催します。会議ではICSの会員が世界中から集まって数日間に渡り様々な発表を行います。2018年はフランスのナント市が会場でした。それに先立ってプレ・ツアーとポスト・ツアーも設けられ、最大で15日間のツバキの祭典が行われました。ブルターニュ地方の国際優秀ツバキ園などの椿園や養樹園などを巡り、フランスのさまざまな椿を見てきました。

私の国際ツバキ大会への参加は今回のナント大会が初めてです。プレ・ツアーと本会議に参加しました。初日は移動に次ぐ移動。数人の日本メンバーと共に2018年3月21日(水)11時5分にに成田を出発すると、シャルル・ド・ゴール空港に降り立ち、そのまま乗り継いでオルリー空港へ。現地ガイドのN氏と合流してさらに乗り継いでブレスト・キパバ空港へ。そこからさらにバスで移動して、ようやくホテル着いた時には21時半を回っていました。

プレ・ツアー(フランス、ブルターニュ地方:2018 年 3 月 21~25 日 )

フランス入りした翌日3月22日(木)は、朝から3つのグループに分かれてブルターニュ地方を中心にツバキの名所を巡りました。ブルターニュは、酸性土壌と年間を通じて温暖な気候の海洋性気候の土地で、ツバキの成長にとても適した条件の場所です。

3月22日(木)

ラメゼック夫妻の庭園(Mr&Mrs LAMEZEC’s Garden)

記念すべき最初の訪問先はブルターニュの西部プルガステイユ(Plougastel)にあるラメゼック夫妻の庭園(Mr&Mrs LAMEZEC’s Garden)でした。この椿の庭は50年前に友人の園芸家から得たカメリア・レティクラータ「キャプテン・ローエス」から始まった(インターナショナル・カメリア・ジャーナル2018日本語抄訳より)のだそうです。たった1本のツバキから始まった椿の庭は、今では森のようになっています。

<庭で見られた椿>

ブレスト国立植物園(National Botanical Conservatory in Brest)

ブレスト国立植物園ではまず最初に温室で保全されている絶滅危惧種を案内されました。

椿があるのは公園の奥まったエリアです。園内地図を見ながら歩いてゆくと、細長い公園の水鳥たちが集う池から流れる小川沿いにはマグノリアの花が咲いています。小川を辿って奥に行くと、高木の木立の下に椿が植栽されている一角がありました。中にはビルド・ナント(Ville de Nantes)も。フランスに来たなーという感じがします。

そのほかにもいくつかの椿の植栽が見受けられました。一つの苗木には、Camellia PtitZefと書かれた大きな看板が。ハイブリッドタイプの椿らしく、ICS登録128番、白地に桃色が入る品種のようです。

昼食はブレスト港を臨むレストランで。

ミリザック(Milizac)のシャペル夫妻の庭園(Mr&Mrs CHAPEL’s Garden)

夫妻の椿園は、かつては農場でしたが、1984年に自宅を建てた時から庭づくりが始まったそうです。椿やその他の植栽をすすめて、今ではツバキが600本。そのうちレティクレータとハイブリッドが50本。広く平らな見渡しの良い庭園なので家の前には風よけシデを植えたそうです。(ICJ2018日本語抄訳より)

<庭で見られた椿>

Kimberley

ギプロンベル(Guiplonvel)のスタリニュー養樹園(STERVINOU’s plant nursery)

スタリニュー養樹園は1944年創業。大規模で整っていました。現在の経営者は創業者の孫の方。温かい飲み物と椿の花のディスプレイで私たちをもてなしてくれました。入り口から見える石造の古い納屋には、壁に椿の枝が這うように仕立てられていて印象的な植栽です。

スタリニュー養樹園 20180322

ここで販売しているツバキは200種。温室の様子を見せてもらいました。大きな温室も、そこで育てられている苗の多さも、小さな鉢物の苗に蕾が山のようについていることも、鉢物の椿が日本では見たことがないくらい大きいことも驚きでした。街の根元には木のチップが敷き詰められているのも初めて見ました。

いずれの鉢も病気や虫もなく花の状態も良く、よく管理されているのだと感じました。

<養樹園で見られた椿>

様々な椿園、養樹園を訪問したあとは、ブラゴブラン(Plougovelin)のサン・マテュー(Saint-Mathieu)岬へ。フランス最西端にあるこの岬で美しい夕陽を眺めて灯台や僧院の遺跡を散歩してからレストランで歓迎夕食会となりました。

3月23日(金)

ギンガンプ(Guingamp)のルモール夫妻の国際優秀ツバキ園(Park ar Brug)

https://www.societeducamelliaidf.net/

国最優秀ツバキ園(ICGoE)

Park ar Brug ルモール夫妻の国際優秀ツバキ園

国際ツバキ協会(ICS)の公式サイト(https://internationalcamellia.org/park-ar-brug-guingamp)によると、Park ar Brugは、フランス西部ブルターニュ地方の北東、ギンガンプ市近くにある、風から守られた古い農場の周りにある24エーカー(約10ヘクタール)の庭園です。これまで50年間、ツバキだけが植えられてきました。コレクションはツバキを栽培しているすあらゆる国から集められた、原種50品種、園芸品種700品種以上。剪定は2年に1回で、樹形は自然な形をしています。

庭にいる多くのミツバチによって交配されて、多数の種子が実ると共に、多彩な栽培品種が誕生しています。

オーナーのフランチ・ルモール(Fanch Le Moal)氏は毎年3,000の種子を植えるため、ブルターニュで有名なブリーダーです。

バスで到着した私たちを大勢の地元の人々が出迎えてくれました。この土地の名産品というサイダーが振る舞われ、小グループに分かれて案内をしてもらいました。ガイドは学生たちがしてくれました。椿のことだけでなく地元の歴史のことなども説明してくれました。

古い石造りの建物や塀とほぼ自然に育っているような椿の木々の間を縫うように広がる小道が織りなす庭の景観は、いつまでも散歩をしていたくなるような、安らぎと心楽しさを味わうことができました。帰りには農園で取れたらしいハチミツやクッキーなどのお土産までいただきました。

<庭で見られた椿>

トレダルジェク(Trédarzec)のケルダロ公園(Jardins de Kerdalo)

http://www.lesjardinsdekerdalo.com/

ケルダロ公園 20180323

広大な敷地のケルダロ公園は1965年にピーター・ウォンスキー王子がデザインしたヨーロッパの名庭園の一つです。彼の死後は娘が受け継ぎ、造園家と共に美しい景観を取り戻したと言います。(インターナショナル・カメリア・ジャーナル2018日本語抄訳より)

門から伸びる道、石造りの納屋や立派な屋敷とそこに面した芝生の庭があるかと思えば、池、滝、小川、木立を抜けて登った丘から見えるル運河と対岸の街並みなど、複雑な景観が展開していて、公園というより、一つの小さな領地といった感じ。どこを見ても綺麗に育っている植物、大きなシダや水辺の黄色い水芭蕉のような植物など見ごたえのある庭でした。

プルイニュ(Plouigneau)のルエ養樹園(ROUS’s plants nursery)

ルエ養樹園は1973年創業の家族経営の養樹園で、とても広大な温室でさまざまな植物を育てていました。私たちのために椿の花をテーブルのうえに椿の花を花綱のように美しく並べてもてなしてくれました。

ここで扱う椿の品種100種程度だそう。小花で香りのある品種が目について気になっていたら、最近は人気があるのだということでした。

苗木を見ていて面白かったのは、ポットに苗を植えるときに1本ではなく数本まとめて植えていること、小さな苗も刈り込んで蕾をたくさんつけさせ、肥料を大量に与えて即座に花が咲く状態にしていること。日本とはずいぶん違うと感じました。

<養樹園で見られた椿>

3月24日(土)

ロクロナン村(Locronan

ロクロナン村は古い建物群が良い状態で保存されていて、フランスの最も美しい村の1つに登録されている場所。人気の観光地のようですが、朝早くに着いたので店は空いていなくて、観光客も私たちしかいいません。街の中心は石畳で覆われた広場で、立派なサン・ロナン協会、井戸、立ち並ぶ石造の建物で囲まれています。

中心部から四方へ伸びる道に面して古い建物が並んでいて、緩やかな丘に続いていたりして、登ってみると辺りが一望できます。所々に椿が見られることも椿旅をする私たちを楽しくさせてくれます。

Wikipediaによると、この小さなロクロナン村は16世紀初めにブルターニュ女公アンヌ・ド・ブルターニュがヘンプの繊維から作るキャンバス地の布を貿易したことによって栄たという。ロクロナンの工房で作られたキャンバス地は帆船の帆として需要が高く、王家の船、フランス東インド会社の船、外国の海軍にも販売されたそう。

現存する教会と周辺の通り、住宅、広場、側臥位の聖人像などの灰色の花崗岩で作られた建造物は、この繁栄の時代に作られものだということです。

シャトーネフ・ド・ファオ(Châteauneuf-du-Faou)

ブルターニュ地方の中央に位置するシャトーネフ・ド・ファオの町はオルヌ運河を見下ろす丘にあり、17世紀半ばにルイ13世が作った橋が今も残ります。街の一角には新しく植えられた椿を披露されました。ブルターニュの音楽隊が歓迎の演奏を披露してくれました。昼食に続いて夕食もここで。手間のかかった美しい伝統衣装に身を包んだ人々のダンスをたくさん見せてもらいました。

シャトーネフ・ド・ファオ 20180324
シャトーネフ・ド・ファオ 20180324

ドメンヌ・ド・トレバレス(Domanie de Trevarez)

https://www.cdp29.fr/

国最優秀ツバキ園(ICGoE)

サン・ゴアゼック(Saint-Goazec)の国際ツバキ協会国際優秀ツバキ園 (ICGoE)、ドメンヌ・ド・トレバレス(Domanie de TrevarezのTrévarez estate(トレバレス・エステート)では、庭園の椿と椿展を見学しました。

国際ツバキ協会公式サイトには、85万平方メートルの公園の中心に建つネオゴシック様式のサーモン・ピンクの城は20世紀の終わりに設計された、とあります。公園と庭園にある椿は原種と園芸品種で約750品種。19世紀の終わりに植えられた250の古い椿、1995年までに350品種に達します。2006年から大規模な再編が行われ現在約750分類群で、学際的なアプローチ、特に歴史的および文化的アプローチに重点を置いてコレクションされています。(https://internationalcamellia.org/europe/europe-gardens-of-excellence/trevarezより)

ヨーロッパの古城と椿の組み合わせという配置はなかなか新鮮であり見応えもありました。

そして広大な敷地の椿も、森の小道に配置されているところや通常の椿の庭のように作られている場所もあり、工夫が凝らされていると感じました。

<庭で見られた椿>

椿展での花の展示は花のみを展示する欧米のやり方なのですが、カップには花が3輪ずつ生けられ、カップの縁が剥き出しで立つことがないように葉や苔で隠すように生けられているところに美意識を感じます。コンテストではなく、花を楽しむための展示という感覚です。会場では数人が挿木の指導をしているようでした。

ブリエク(Briec)のマリ・テレーズ・ブローセン庭園

和洋折衷というか不思議な雰囲気の庭でした。椿は庭の小高い場所に多く植えられていて、他にもさまざまな場所で飾り付けられて訪問者を歓迎してくれました。

あっという間にプレ・ツアーのプログラムは最終日となり、翌日はいよいよ国際ツバキ会議が行われるナントに向けて移動です。プレ・ツアーのさよならパーティはシャトーヌフ・ド・ファオでした。

3月25日(日)

この日は2018年の国際ツバキ会議が行われるナント市への移動でほぼ終わります。途中立ち寄ったポン=タヴァンは、ポール・ゴーギャンをはじめとした多くの画家たちが暮らした街で、「画家たちのまち」(la cité des peintres) とも称されています。石造の町中をアヴァン川が流れます。夏の観光シーズンには土産物店が開き、芸術家たちが自分の作品を展示するとのことですが、オフシーズンの3月は静かで綺麗な小さな町です。ここでも椿は咲いていました。

夕刻に到着して、ナント植物園ツバキ展(Nantes botanical garden)でひとときを過ごしながら、ナントの気分を味わいました。

国際ツバキ大会ナント大会2018

大会の日程は3月25日(日)の夜にはナント市の歓迎式典とカクテルパーティがあり、翌26日(月)から28日(水)の3日間は、午前中はナント市イベントセンターで発表、午後は見学会に出かけるというものでした。

3月26日(月)

ナント植物園(Jardin des plantes de Nantes、Nantes Botanical Garden) 

国最優秀ツバキ園(ICGoE)

ナント市の歴史的中心部に近い場所にあるジャルダンデプラント(ナント植物園)は、国際ツバキ協会(ICS)により2016年に認定された国最優秀ツバキ園です。

コングレスを記念して国際ツバキ協会菅会長による記念樹の進呈のセレモニーや、画家でありイラストレーターであり環境学博士のドゥニ・クラヴルール氏の作品の展示、椿展などが華やかに行われています。一方で市民の憩いの場であるらしい公園は家族連れや老夫婦、若い恋人たちらしいき人々など余暇を愉しむ人々が、微笑みながらゆったりと歩いています。

椿は公園の一区画の小径と外周の遊歩道に沿って植えられています。

国際ツバキ協会(ICS)の公式サイトによると以下のような説明がされています。最初の庭園は17世紀にルイ14世によって作られ、18世紀にはルイ15世が輸入植物のための場所を作り、すべての船は海外からナントに種子や苗を持ち帰るように命じられたと言います。今日の公園は1823年にアントワーヌ・ノイゼットにより設計され、その後ジャン・マリー・エコシャール(Jean-Marie Ecorchard)によって整備されたものです。1865年には一般公開され植物研究の場となりました。7ヘクタールの緑地、800平行メートルの温室に10,000種類以上の植物が植栽されています。

ナントは19世紀初め以来、様々な品種の椿の栽培や生産に取り組んでいます。ナントの船主、貿易業者、市長だったフェルディナンド・ファブレ(1779-1867)は、ヨーロッパで初めて椿を野外で育成させることに成功します。ナント植物園の植物学者兼ディレクターだったジャン・マリー・エコシャールは、椿の最初の屋外コレクションを展示しました。そのコレクションはまだ植物園で見ることができます。過去2世紀の間、ナント市はナント植物園以外にも市内の他の公園や庭園(プロセ公園、ガウディニエール公園、景観墓地公園、グランドブロッタロー植物園)でも椿コレクションを継続的に開発してきました。 ナント全体の椿コレクションは、現在1.000以上の品種があります。

参考:https://internationalcamellia.org/jardin-des-plantes-de-nantes

<公園で見られた椿>

3月27日(火)

この日の午後は理事会に参加したため、ジョエル・ルメトル養樹園とナント植物園(Jardin des plantes de Nantes)にだけ出かけました。

3月28日(水)

大会最終日です。午前中のセッションを終えた後の昼食は、参加者同士いつもより和気あいあいと過ごしたように思います。写真を取り合い、挨拶をし、連絡先を交換し、再会を願い合いました。

コングレスの集合写真 20180328

食後にコングレスが行われたナント市イベントセンターの前で集合写真を撮ってから、バスに乗り込み最後の見学ツアーに出発しました。行き先は景観墓地公園(Nantes Cemetery Arboretum-park) です。

景観墓地公園(Nantes Cemetery Arboretum-park)

ここは不思議な場所でした。

日本人の私にとって墓地とは寺院か霊園にあり、家族のための場所です。墓地公園はその名の通り墓地でありながら緑あふれる植栽と散歩に適した道が用意された公園のような場所で、知らない誰かのお墓を(著名人ではなく一般の方の)見て歩くことができるのです。

明るく静かな公園の墓地には椿の木もよく植えられていました。

プログラムを終えて一旦ホテルに戻り、さよならパーティのための支度をします。さよならパーティは20時から、ナント市招待でブルターニュ侯爵城で行われました。

日本人メンバーと共に丸いテーブルにつき和気藹々と食事を楽しみました。

食事の終わり、まだ明るさの残る庭に出ると、歓声が上がっています。見ると虹が出が出ていました。しかも二重の虹です。長い旅の終わりに空を覆った二重の虹は、ことのほか印象深く、幸せな気持ちで旅を締め括ってくれました。

ブルターニュ侯爵 ポットリー城にて、さよならパーティ 20180328

名残惜しく会場を後にするときに、皆、お土産にツバキの苗をひと鉢づつ受け取ってホテルに帰りました。

帰路

3月29日(木)にホテルからタクシーでナント空港へ向かいパリのシャルルドゴール空港へ。11:20発便に乗り継いで、成田には日付変更線を跨ぐので30日(金)8:20に到着となります。

長い旅も終わりです。

眠気でぼんやりしながら成田エクスプレスの車窓から景色をながめていると、不意に桜の花が連なって咲く様が目に飛び込んできました。出発した時はまだ固い蕾に包まれていた桜が今は花を咲かせている。いつの間にか変わっていた春の景色に、自分が長旅を終えて母国に戻ってきたことを改めて感じます。浦島太郎はこんな気分だったのではないかしら、などと思いながら目を閉じました。

参考

国際ツバキ協会:International Camellia Socety

大会パンフレットほか

<訪問日:2018 年 3 月 21~30日 >

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