Camellia ‘Beni-karako’,‘Jikko’
花は濃朱紅色、一重、唐子咲き、小輪。一重の外弁は5~7弁の筒咲きで、花芯の細長い旗弁が多数出て唐子咲き。その中心に雌しべが長くと突出する。花径はふつう7cmほどの小輪であるが、鉢作りなどの栽培方法により3cm余りの極小輪にもなる。花付きは他の品種より悪く開花数は少ない。開花は3月〜4月。
葉は濃緑色、楕円〜長楕円の中形。鋸歯は尖り、葉柄はやや長い。樹形は立性で枝は粗につき、庭木の場合は刈込により整枝して樹形を整え方がよい。
来歴は古く、『本草花蒔絵』(1739)には唐子として載り、「紅唐子」の名は伊藤『椿花集』(1879)に載る。関西で「日光」(じっこう)、中部で「紅卜伴」とも呼ばれる。
京都では「日光」(じっこう)と呼ぶ。大徳寺方丈の築山の刈込み、同寺塔頭大仙院の刈込も本種。京都には本種が多い。かつて霊鑑寺には樹齢400年と言われた大樹があったが2015年に枯死し、今は元の木と根がつながっていた「日光」に京都市指定天然記念物が引き継がれている。(【椿の名所】霊鑑寺門跡の古木椿)
「日光」にはいくつかの差異がある品種群があり、類似品種の「赤腰蓑」は雌しべが突出していない、「黄覆輪紅唐子」は本種の斑入り葉品種、と『現代椿集』(1972)にある。
<引用・参考文献>
・最新 日本ツバキ図鑑,日本ツバキ協会,成文堂新光社,2010
・現代椿集,日本ツバキ協会,講談社,1972
<撮影場所>
・都立大島高校椿園
・光が丘夏の雲公園ツバキ園
・大巧寺
・霊鑑寺