【椿の名所】圀勝寺の八重大椿
落ちた花が赤い絨毯となる八重咲き大椿
新聞記事で岡山県矢掛町の圀勝寺にある大椿の開花を初めて見た時は、その迫力に息を飲みました。広げた枝いっぱいに鮮やかな紅色の花を山のように咲かせます。咲き終わった花も捨てられることなく樹の根本に集められるので、赤い花の絨毯の上に大椿が立っているようです。何よりその花数の多さが驚きでした。
数年来の念願かなって訪問できたのは2026年4月中ばでした。駅から歩いてゆくと、寺に着く前に土塀から身を乗り出して枝を広げた大きな椿が見えました。その枝の下には赤い絨毯のような落ち椿。
圀勝寺の八重椿は土塀の間際に植えてあり、樹冠の半分が外にはみ出すようになっていたのでした。苔むした幹は根本から1メートル弱のあたりで数本に分かれて、傘の骨のように四方へ広がっています。広げた枝を自力で支えられなくなっているのでしょう、竹の支柱が数本当ててありました。樹幹の届く範囲は陣地とでもいうように竹の柵でぐるりと囲っています。落ちた花はその柵の中に入れられています。
樹上に咲いている花、樹下には落ち椿。二つの場所の花々は呼応して、まるで合わせ鏡のようです。
花は紅色の獅子咲き、雄しべは見えず、立体的です。よくみると花の形は統一ではなく、花弁がカーネーションのよう入り混じり鞠のように盛り上がっていたり、立体的な八重咲で弁端に深く切れ込みの入った花弁が並んでいるものなどあります。いずれの花も大きさは中輪、花付きは良いです。
花の盛りは過ぎたようですが、落ちた紅い花が樹下を埋め尽くす様子は迫力満点の姿でした。
寺の案内板には4月中旬頃、八重で美しい鮮紅色の花が咲くとあります。目通り1.9メートル、枚張り四方約9メートル、樹高約8メートル。推定樹齢300年の堂々たる姿の老木椿です。推定樹齢は現地の解説板に、矢掛町指定天然記念物に指定された1981年時点で約300年と登録されているので、45年後の2026年現在は推定樹齢350年くらいの計算になります。
圀勝寺(こくしょうじ)について
真言宗神遊山圀勝寺の創建は726年(天平勝宝8年)、本尊は地蔵菩薩、吉備真備の創立と伝わります。山門も本堂もとても立派ですが現在は常駐のご住職が不在とのことです。
寺の南面から山門に向けて歩くと、「吉備公ゆかりの寺 神遊山圀勝寺」という石碑が立っており、六体の地蔵菩薩の石像が並びます。背後に大きな桜の木、さらにその後ろに椿の木が並んでいました。山門から入ると正面に立派な本堂があります。
境内には園芸品種のツバキが幾つも植えられていて春らしい華やぎを与えています。
駅から歩いてくる途中の道すがら「圀勝寺 椿寺 →」という案内板があったことを思い出しました。かつてはご本尊に因み地蔵院と称した雨ですが、今は無人の寺の主人は大椿なのかも知れません。
時折参拝や椿を観に訪れる人がいるものの、寺の境内は椿の花と蜜を求めて来る蜂の羽音ばかりが聞こえる、静かで穏やかな春の時間が流れていました。
毎年花期に合わせて4月第1日曜日には椿まつりが開催されています。2026年の山陽新聞のW E B記事には、世話をする住民グループ椿会の話として、今年は3月中旬に咲き始め、寒さが和らぐとともに花が咲き、4月3日現在ほぼ満開になったと書かれています。次回は満開か椿まつりの時に行ってみたいと思います。
<訪問日:2026年4月14日 晴天>
データベース
【名称】圀勝寺の八重大椿
【品種】
【大きさ・形状】樹高:約8m、幹周り:目通り1.9m、枝張り:四方約9m
【樹齢】約350年
【花、葉】花形:八重、花径:、花色:紅色
【花期】4月上〜中旬
【所在】〒714-1211 岡山県小田郡矢掛町東三成1344
【備考】矢掛町指定天然記念物(1981年(昭和56年)3月24日指定)
・営業時間:境内に見学で立入可、無料
・問合せ:0866-82-0629
アクセス
・井原鉄道井原線三谷駅から徒歩15分
・山陽自動車道鴨方ICから車20分
参考文献
・現地改札板
・岡山観光W E B:https://www.okayama-kanko.jp/event/detail_12453.html
・山陽新聞 2026年04月03日 3:54,ツバキ見頃、樹下を深紅に彩る 矢掛・圀勝寺 11日にはまつり :https://www.sanyonews.jp/article/1899930?kw=4
・コトバンク 圀勝寺 出典平凡社「日本歴史地名大系」





















