京都市街地の北部、鴨川の東側に面した場所に京都府立植物園はあります。園内北東部につばき園見本園があり、古典品種から現代の品種まで約250品種600本が植栽されています。
2017年3月25日に奥村家の五色八重散り椿を見に行った時、お家の方から「今年はまだあまり咲いていなくて。でも植物園の方でもうちの花が見られますから」と、つばき展のご招待状をいただきました。ちょどその日は府立植物園樹木係の中井貞氏による「園内ツバキ探訪」というガイドツアーがあり、ありがたく頂戴して参加することにしました。
京都府立植物園はその名の通り京都府が所有する公立植物園です。大正6年(1917)に大典記念京都植物園として開園しますが戦争などの受難の時期を経て昭和36年(1961)に憩いの場、教養の場として刷新します。その後も着実に園内整備を進め、また植物園会館は植物園会館には、研修室、展示室、園芸サロンの施設での活動やと植物に関する蔵書などにより生涯学習の拠点となっています。
園内は構成は大きく分けて北と南では異なった様相です。正門付近の南半分は1年草を中心とした四季の草花やバラの花壇や温室などがあり、北半分は自然林である半木(なからぎ)の森や日本の山野に自生する植物を植栽した植物生態園、日本で古くから栽培されてきた園芸植物で構成されています。
つばき園は北側にあるので、北山通側の門から入る方が近いです。
園内ツバキ探訪ガイドツアー
柊野からバスに乗って南下して鴨川門から入り、「園内ツバキ探訪」ツアー集合場所の正面入り口に向かいます。梅やマンサクは綺麗に咲いていましたが椿は少ないなと思っていたら、ガイドツアーでも「今年は花が咲いていなくて・・・」とガイドの中井氏は苦笑されていました。椿は少なかったのですが、見事な梅の数々を見て香りを楽しむことができました。
つばき展
京都府立植物園では、園と一般財団法人京都園芸倶楽部との主催で毎年つばき展が行われています。2017年は第57回で、テーマは「京の名椿と茶花」でした。園職員によるガイドツアーの他にも、植物会館で講演会や展示があります。展示は京の名椿、茶花、園芸品種、洋種ツバキ、のテーマで構成されていました。やはり深く心に響くのは、京の名椿をテーマにした展示です。
椿展示を見ると「さすが京都!」と感心しますが、それは規模の大きさや華麗な品種をたくさん展示しているからではありません。「京の名椿」の展示は京都の古刹や名家の写真とともに、その場所に所縁の椿が一輪挿しで飾られています。例えば柊野の奥村家の五色八重散り椿もその一つです。
京都市内地図にマーキングされている京の名椿リストは以下の通りです。
- 1.林丘寺 白侘助
- 2.市和顕家 百合椿、酒中花
- 3.奥村家 五色八重散椿
- 4.祇王寺 薄墨椿
- 5.平岡八幡宮 一水椿、平岡八幡藪椿
- 6.宝鏡寺 月光、熊谷、村娘
- 7.法然寺 貴椿、散椿、花笠
- 8.霊鑑寺 日光、舞鶴、衣笠、奴
- 9.大聖寺 侘助、玉兎、から椿
- 10.大徳寺 (本坊)月光、白玉、(総見院)侘助、(高桐院)雪中花、(瑞峰院)加茂本阿弥、(聚光院)宗旦椿、曙
- 11.長福寺 石橋、小式部
- 12.二条城 赤角倉、妙蓮寺
このような場所は世界中、他に何処にもないでしょう。文化の中枢を担い続けてきた都市の実力、懐の深さを感じます。
貴重な椿の古書も展示されています。
こちらは菓子型。
<訪問日:2017/3/25>
データベース
【名称】京都府立植物園つばき園
【コレクション】古典品種から現代の品種まで、約250品種600本
【花期】3〜4月
【所在】〒606-0823 京都市左京区下鴨半木町
【備考】
・開園時間:午前9時~午後5時(入園は午後4時まで)
・休園日:12月28日〜1月4日
・入場料:一般 200円、高校生 150円
・問合先:京都府文化スポーツ部文化政策室 植物園 075-701-0141
・公式サイト:http://www.pref.kyoto.jp/plant/index.html
アクセス
- JR「京都駅」、近鉄「京都駅」、阪急「烏丸駅」から、京都市営地下鉄「北山駅」下車3番出口すぐ。又は「北大路駅」下車3番出口を東へ徒歩約10分
- 京阪「出町柳駅」から、市バス1系統または、京都バス「静原」「市原」行き。バス停「植物園前」下車徒歩5分
駐車場有り
参考資料
- 京都府ホームページ京都府立植物園http://www.pref.kyoto.jp/plant/index.html