東山つばきガーデン

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2019年春にオープンした東山つばきガーデンは個人の所有地に作られた椿の庭です。森林の中に作られたその庭園は、その広さも規模も個人の庭とは思われません。ここは椿を愛する母と娘の2代にわたって受け継がれた稀有で愛すべき椿の庭園なのです。

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東山旧岸邸の太郎冠者

太郎冠者という椿は不思議な椿です。室町時代から江戸時代初期に生まれたとされますが、その生来は定かではありません。 中国から輸入されたツバキ属の原種と日本のヤブツバキとの間にできた雑種で あるというのが定説です。12月から4月頃にかけて咲く花はやや青みを帯びた薄いピンク色。その不思議な色合いは赤いヤブツバキを見慣れた当時の人々の心を魅了したことでしょう。
太郎冠者は京都や西日本では、有楽椿(うらくつばき)とのよばれます。織田信長の弟で有名な茶人であった織田有楽斎が好んだと言われることによります。

東山旧岸邸の車回しにある太郎冠者は推定樹齢400年、とても古い木といえます。
この太郎冠者の古木は、もともと御殿場市柴怒田(しばんた)の江戸時代から続く農家、瀬戸勇夫氏宅の庭先にあったものです。岸信介元首相が所望したが、主は「瀬戸の家宝であるから」と首を縦に振らなかったそうです。しかし近年、新東名高速道路の工事に伴い一度は伐採されることが決まります。あわやというところを、御殿場椿の会の働きかけにより御殿場市が保存を決定、 縁ある東山旧岸邸に移されました。
移植は2年間据え置く根回しを行い、数年がかりで実行されました。その様子は「樹齢400年の太郎冠者を移植する」(椿55号,2017)に詳しく載っています。

御殿場東山旧岸邸太郎冠者20170201_1
御殿場東山旧岸邸太郎冠者20170201

私がはじめてこの木を訪れたのは、移植翌年の2017年2月1日でした。木を守るための覆い布を幹に巻き、支柱に支えられた木は園芸品種とは思えないほど背が高く圧巻でした。移植した割には枝を多く残されているのは、2年後に控えた全国椿サミットでお披露目するための見栄えを重視したためなのでしょう。このことで樹勢の回復に余計に時間がかからないか、 樹勢が衰えたり枯れたりしないか心配したものです。
花は数輪咲いていましたので、これが太郎冠者荏あることは見て取れました。

柴怒田の瀬戸家にあった頃の日本ツバキ協会の鑑定書(2013)によると、移植前の木は樹高約8m、枝張約12m。地際の少し上で数本の太い枝が合着し、地上90cmで幹回りは約180cm、その上から5本以上の太枝が分岐するとあります。状態から見た推定樹齢は少なくとも300年以上。
御殿場市は推定樹齢400年と発表しています。『静岡新聞』によると 瀬戸家が柴怒田に移り住んだ1700年頃には既にあったということです(2015年12月31日付)。つまり、かの宝永の大噴火(1707)を生き抜いた逞しい木といえます。

全国椿サミットでのお目見え

全国から椿の愛好家や関係者が集まる全国椿サミット、今年は2019年4月6日(土)、7日(日)に御殿場市で開催されました。太郎冠者を見学した7日日曜日はお天気も良く暖かく、桜も満開。まさに春爛漫でした。

幹を覆っていた保護布は取り払われていました。花は数輪のみ見られました。今年の花付きは今一つだったようですが、昨年はとても花付が良く、咲き終えた花が地に落ちて木の下をピンク色に飾ったそうです。

太郎冠者 旧岸邸20190407

樹勢の回復にはまだ時間がかかるでしょうが、椿は長寿の木です。長寿の木に相応しく、私たちは樹勢回復や樹形が整うまで末長く見守りたいと思います。

太郎冠者のお土産

東山旧岸邸は岸信介元首相の自邸として、 建築家・吉田五十八 の設計で1969年に建てられました。 伝統的な数寄屋建築の美と、現代的な住まいとしての機能の両立を目指して設計され 、快適さと豊かさを感じさせてくれます。特に茶室、そして庭を望む食堂はとても素敵です。食堂の大きなガラス戸を開くと、庭はまるで一幅の絵の様に広がります。この食堂や隣室の今から庭を眺めていると忙しさを忘れて、豊かな時間の流れを感じるのです。
2003年に御殿場市に寄贈され、今は和菓子の虎屋が指定管理者として管理運営しています。お土産コーナーもあり、有楽椿のオリジナル手ぬぐいや、その手ぬぐい布を張ったうちわ、椿の花びらで作ったジュレなどが買えます。

椿の花びらのジュレ

柴怒田時代の太郎冠者

太郎冠者について調べていたところ、椿友が柴怒田の瀬田家にあった頃の彼の木の写真をくれました。
脇に小川が流れていており、椿は川より向こう側には根を伸ばすことが出来ていません。背丈は母屋よりもはるかに高く、軒先に触れんばかりに育った太郎冠者の古木。この家系と歴史を共にした長きの歩みを終え、今は転居した主と別れて、自らも新天地に根を張ろうとしています。

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柴怒田の太郎冠者 伊藤哲郎氏2013/2/9撮影

データベース

【名称】東山旧岸邸の太郎冠者
【花期】12月〜4月
【所在】〒412-0024 静岡県御殿場市東山1082-1
【備考】
・開館時間:10:00~(4月〜9月)18:00、(10月~3月)17:00
(入館は閉館時間の30分前まで
・休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日〜1月3日
・入館料:大人300円
・問合先:TEL.0550-83-0747
・公式サイト:https://www.kyu-kishitei.jp/

アクセス

・JR御殿場駅からタクシーで約15分。

ヤブツバキの里 御殿場

霊峰富士の裾野にして優雅な別荘地帯、家康の御殿が作られた御殿場が、「ヤブツバキの里」であることはあまり知られていません。この地にヤブツバキが多くある理由について、役小角が富士の麗にヤブツバキの花が咲いたら美しいだろうと思い種子を蒔いた、という伝説があります。
ランドスケープデザイン、もしくはインスタ映えとでも言えましょうか。

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等持院の有楽椿

有楽椿 等持院20190202

夢窓疎石作と伝わる等持院の庭に降りて左手に茶室清漣亭、右手に池を見ながら小高い場所に向かって伸びる細い通路を登ると、京都随一の樹齢を誇る有楽椿に辿りつきます。

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椿旅 武蔵丘陵森林公園のツバキ園

根岸紅(サザンカ)武蔵丘陵森林公園

<訪問:2017年11月20日(日)晴れ>

松林の下に広がるツバキ園

 埼玉県にある国営武蔵丘陵森林公園は、東京ドームの65倍もの広さを誇る日本で初めて作られた国営公園です。その広大な敷地の一角にあるツバキ園、そして公園のバックヤードとも言える第二苗圃には、ツバキとサザンカが500種もコレクションされている宝庫なのです。
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椿旅 南都伝香寺 散り椿(武士椿)

<訪問:2017年3月26日雨天>

筒井順慶を偲ぶ散り椿

 伝香寺(傳香寺:でんこうじ)の北門をくぐると、小さな庭の右手に大きな椿の木が現れます。伝香寺散り椿、別名武士椿(もののふつばき)。その名の由来は、常の椿と異なり桜のごとく花びらが一枚一枚散ることに由来するといいます。
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椿旅 京都宝鏡寺の村娘

<訪問:2017年3月25日晴れ>

 人形の寺として知られる臨済宗宝鏡寺は春秋二回だけ公開されます。春の公開時には、うまくすれば雛人形と共に椿も見られます。境内の著名な椿は三つ。月光、熊谷、村娘。

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